第54話

 ゲートスライム以外にも召喚可能なスライムたちの能力を確かめることで、今後の掛け合わせ召喚で召喚するスライムをどうするのかなどを考えたりして過ごして1週間ほど経った。


 もちろんこの1週間は貴族としての勉強や武術の修行だって行なっていたが、自分のギフトをどう使うかを考える時間の方が楽しいものだ。


 そんな風に過ごした僕が今何処に居るのかと言えば、領都ツリードの近隣にある魔境の獣の森の上層にいる。


 「ここら辺かな?」


 あまり獣系モンスターも冒険者も立ち入っていないのか、僕たちが今いる近くには薮が生え放題になっていた。


 草食系のモンスターでも食べない。冒険者が採取することもない。そんな鋭い棘が生えた植物をスライムプラント系のスライムたちに人が入れるように操作してもらう。


 そうしてスライムプラント系のスライムたちの力で棘だらけの薮の中心に大人が数人入れるほどのスペースが作られる。


 「あとはここに地下室を作るだけだね。みんな、頑張って!!」


 穴掘りが得意そうなスライムビースト系のスライムやアーススライムの力を借りて薮の中心に出来た広間に穴が作られていく。


 地下室が出来上がるまでの間、僕は他のスライムを召喚してスライムたちに中層に向かって探索するように指示を出した。


 今日の目的は魔境・獣の森の上層にゲートスライムを残すことで、いつでも獣の森へと瞬時に向かえるようにすること。


 それ以外にも獣の森の中層の探索を時間があったらしてみたい。


 土が隣で山のように積まれた穴の中を確認すれば、穴の中はそこそこの深さまで掘られていた。


 これなら地下室としても充分な深さになっただろうが、まだ横に広げたり、人が中に降りられるように階段を作ったりなど色々と作業をしないと行けないだろう。


 アーススライムを多く召喚して掘り出された土を数の力で圧縮して行き、それを使って地下室全体の強化を行なっていく。


 これで天井や壁から土が落下して来ることは少なくなったと思うが、更にそこから水が染み出して来たりしないように属性石の設置を行なったりする。


 これで地下室内でも湿気が溜まったりしなくなったと思う。実際に屋敷の地下室にも火炎石、烈風石の2つの鉱石が加工されて設置されていた。


 加工前でも多少は効果があるそうなので今はロックスライムが作り出した石壁や天井に埋め込まれる形で属性石が設置されている。


 あとはこの場所を使っているうちに気が付いたことがあったら、その都度改修を続けて行けば良いだろう。


 地下室の入り口の周りに雨が降った時に水が入って行かないようにする仕掛けをスライムたちに作らせて完成だ。


 ここにゲートスライムとゲートスライムの護衛をするスライムたちを召喚して、ここでのやるべき事はあと1つだけになる。


 屋敷のゲートスライムとここのゲートスライムを繋ぐゲートを作り出すのにどれくらいの魔力を使うのかを実際に確かめるだけだ。


 僕はゲートスライムに屋敷のゲートスライムとのゲートを繋がるように指示を出した。


 「うっ、結構魔力を持って行かれるな。」


 でも思ったほど魔力を使う訳ではないようだ。予想よりも消費魔力が少なくゲートが開かれていく。


 この開かれたゲートの先が屋敷のゲートスライムが開いたゲートなのかを確認する為にゲートの中に入った。


 「良かった、ゲートは開かれてた。」


 『これでいつでもモンスターと戦えるね、マスター!!』


 好戦的に身体から触手を2本伸ばしてシュッシュッと空気を切り裂くようにリムが触手を真っ直ぐに振るう。


 そんなリムを落ち着かせてから、僕たちは屋敷のゲートスライムのゲートを潜り抜けて魔境・獣の森上層のゲートスライムのゲートから抜け出て来た。


 最後に地下室と地下室の出入り口を確かめてから、僕たちは大勢のスライムを連れて獣の森の中層を目指して進んで行く。

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