第39話
そうして僕たちの順番が来た。開かれた扉の向こうには誰も居ない。そんなボス部屋の中へと僕たちは入って行く。
全員がボス部屋の中に入った瞬間にいきなり後ろの方向から扉がバタンッ!!と閉じる音が聞こえた。
これが初めてだったら驚いていたが、僕たちの番が来るまで待っている間に何度も同じ光景を見ていたお陰で驚くことはなかった。
扉が閉まってからすぐにボス部屋の中央付近に魔法陣が出現と、そこからゴブリンリーダーと思われるゴブリンよりも大きいゴブリンと取り巻きの5匹のゴブリンが魔法陣から現れた。
「ぐぎゃぎゃ!!!!」
ゴブリンリーダーが叫び声を上げると、ゴブリンたちは一斉に僕たちに向かって突撃してくる。
それも各々のゴブリンがお互いを庇えるような位置どりでの突撃だ。
「前衛スライムは前へ!後衛のスライムは突撃の勢いを削ぐ為に攻撃開始だ!!」
僕の指示を聞いてスライムたちは動き出す。僕の方でもアロースライムから受け取った鏃が火炎石製の矢をゴブリンリーダーに射る。
引き絞られた弓から放たれた矢は見事にゴブリンリーダーに直撃する。ゴブリンの上位種と言えど所詮はゴブリン。直撃した矢の鏃の影響でゴブリンリーダーは傷口から発火して燃え上がる。
アロースライムに属性石スライムを掛け合わせて召喚したスライムが作り出した矢には属性攻撃が乗るのだ。
燃え上がりのたうち回っているゴブリンリーダーを尻目に、取り巻きのゴブリンたちは既にスライムたちに寄って集ってズタボロになって倒されていた。
僕は未だに身体を燃え上がらせているゴブリンリーダーの身体の火を、スライムマジシャンとウォータースライムを掛け合わせたスライムたちに消火させると、まだ辛うじて生きている火傷だらけのゴブリンリーダーを捕食する為にスライムたちを向かわせる。
スライムたちに集られて身体を捕食され続けていくゴブリンリーダーだったが、そんなゴブリンリーダーの悲鳴はすぐに聞こえなくなって僕たちの初めてのダンジョン攻略が終わった。
ゴブリンリーダーが完全に捕食されると同時に魔法陣と宝箱が現れる。これがミスズ姉さんが言っていたダンジョンの攻略報酬なのだろう。
ミスズ姉さんはダンジョンの攻略報酬の宝箱には罠は仕掛けられていないと言っていたら、このダンジョン攻略報酬の宝箱は僕が開けてみようと思う。
ほいっと宝箱を開けてみれば、その中には真っ黒な指輪が1つ入っていた。見れば見るほどに嫌な感じが漂っている指輪だ。
「な、なんだこれ?」
俺が戸惑っている様子を見た護衛の騎士たちが宝箱を覗いて、この嫌な感じが漂っている黒い指輪が呪われた装備品なのではないかと言われた。
確かにこれは呪われたアイテムだと言われればそうだろうと頷いてしまう物だ。
「リム、これを捕食できる?」
『たぶん?問題ないよ。食べてみるね。』
「お願い。でも一応ホーリースライムで捕食させよう。」
呪われたアイテムでも問題なく捕食することが出来そうなスライム系モンスターであるホーリースライムで呪われた指輪を捕食させた。
「リム、大丈夫?」
『うん、問題なし!!ホーリースライムのボクは呪われてないよ!!』
ホッと安堵の息を吐いて僕は宝箱の中に入っているホーリースライムの様子を見るが、問題なさそうにプルプルとホーリースライムはしている。
これでダンジョン攻略が終わり、僕たちは地上に繋がる転移の魔法陣の元へと移動している途中で思い付いたことがある。
「この魔法陣を捕食したら問題かな?」
僕は護衛の騎士の1人に聞いてみたが分からないとのことだった。
スライムたちに捕食させた場合、この魔法陣は消えてしまうだろう。そうなると、僕たちは下手をしたら閉じ込められてしまう為、スライムたちの一部を残して僕たちは地上へと転移することにした。
転移の魔法陣が発動してもまだスライムたちが残されているからか、転移の魔法陣は消えていないとリムは言う。
だからこそ、その転移の魔法陣を僕はスライムたちに捕食させることにするのだった。
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