第22話
祝福の儀を行なってから半年が経った頃には身体は充分に健康になった。下手したら同じ歳の子供よりも身体は頑丈で健康かも知れないほどにだ。
元々僕の身体は普通のエルフ族よりも頑丈で強靭だった可能性があると、これまで僕の専属医だった回復魔法や薬師の知識もある医者が言っていた。
だからこそ祝福の儀からすぐに魔力が身体から抜けてすぐに身体を動かせたのだろう。そして、今は強い肉体のお陰で魔法を使わなくても50メートルの的に動かなければ命中もさせられるほどに弓術が上手くなった。
そして今日は護衛の騎士はいるが初めての狩りをする為に近くの魔境に向かう。
ちなみに魔境とは神々の封印の余波により生まれた場所で、魔境には封印された邪神の力を神々が無害化させて力をモンスターに変えているのだそうだ。
他にもダンジョンは邪神が作り出した物であり、同じように邪神の力を無効化してモンスターや罠に宝箱などを設置し、最終階層のボスのモンスターがいる。そして、このダンジョンを神々が邪神の封印と共に乗っ取って神々の試練に使っているそうだ。
そしてなぜモンスターのスタンピードが発生するのか、それは邪神の力を削ぐために無効化しているが、長い間を生き延びたモンスターやダンジョンのボスの中には邪神の力を蓄積したり得るモンスターもおり、そうしたモンスターから邪神の力が広がってスタンピードが起こるのだと言う。
こう言った情報は本来なら知られることはないが、国の上層部や貴族に高位の冒険者は知っている情報であり、僕は姉さんから「秘密だよ」と教えて貰った。
「今日の狩りって魔境の何処まで行っていいの?」
魔境には深度と言うものがあり、それは表層、中層、下層、深層と4段階に分かれており、深度が深くなればなるほどに生み出されるモンスターの強さと大きさが変わる。
今回の魔境は表層、中層、下層の3段階までの大きさの魔境だ。
「カナタ様、そこまで奥には行きませんよ。表層までです。」
「そっか。まあ、初めての魔境だもんね。」
今回の魔境は獣の森と言う場所だ。現れるモンスターの大半は獣系モンスターばかりであり、この場所で食用の肉の確保が冒険者たちに寄って行なわれている。
そんな獣の森へとたどり着くまでの間、僕とリムに護衛の騎士たちは街道を歩いて進んでいく。
「街道にはモンスターが居ないんだね。」
「この辺りは獣の森に向かう冒険者が多いですからね。モンスターも警戒して来ませんよ。ですが一応注意はして置いてください。襲っては来ませんが、ほらあそこに居るのが見えますか?」
護衛の騎士が指を刺した方向を見れば、そこはかなり離れており草が茂っている場所だった。
ジッとその場所を見ていると確かに草の緑色とは違う茶色の何かが動いているのが確認できる。
「あれってなんのモンスター?」
「お尻しか見えませんが、あれはウサギ系のモンスターでしょう。」
「ウサギのモンスター。」
お尻をフリフリして頭を茂みに突っ込んでいる姿は何か可愛らしいが、あれも人類を襲う危険なモンスターの1匹だと思えば気にせずに殺すことが出来るだろう。
「あれって倒した方がいいのかな?」
「いえ、気にしなくてもいいでしょう。あのモンスターは獣の森から追い出されたモンスターでしょうから、そう言ったモンスターは階級の低い冒険者が暮らす糧に必要です。」
「冒険者たちの仕事を奪っちゃうってこと?」
「そうです。獣の森を探索できない冒険者の獲物ですよ。」
それならこれから魔境・獣の森に向かう僕が倒しちゃいけないと納得する。
それからも街道から離れた遠くの方にモンスターが居ないかを探しながら進んで1時間ほど経ち、僕たちは魔境・獣の森に到着するのだった。
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