どうやら隣に住むJK月島さんは魔法少女らしい 〜異世界帰りの勇者な俺、魔法少女たちの戦いに巻き込まれる。まっ、ステータスそのままなんですけどね!!〜
さい
第1話 異世界帰りの男
どうやら、俺こと東雲涼太の隣に住む同じ高校に通う女子高生、月島唯は魔法少女のようだ。
まだ確信はついていない。
ただ、昨日、俺は見てしまった。
ピンク色の魔法少女のような衣装で、変な生き物と戦っている現場を。
ほぼほぼ確定だ。
だが、もしかしたら夢だという可能性も残っている。
だから、俺は彼女が魔法少女である瞬間をもう一度見ることにした。
やり方は簡単だ。
自室から、彼女の家の玄関を見る。
出るのを待つだけだ。
ストーカーだ。
けれど、仕方がない。
こうするしか方法はないのだから。
昔は彼女とは仲が良かった。
中学一年までか。
今となっては、話すことすらなくなってしまったけど。
まだ話すような仲だったら、直接聞くことができたが、今は無理そうだ。
なんて、彼女を見ていると、すぐに玄関から姿を現した。
制服姿だ。
何やら楽しげに話しているようすだ。
「【
俺は、魔法を使い、より彼女の姿を拡大して見た。
「なっ」
彼女の隣には、宙に浮く小さなペンギン。
絶対、魔法少女ですやん。
○
一日前──
「……」
目を覚ますと、目の前には懐かしの白い天井が広がっていた。
「ん……」
上半身を上げて、周りを見る。
懐かしい。
何もかもが懐かしい。
「帰って来れた……」
勢いよく起き上がり、あまりの感激に大声で叫んだ。
「うおおお!! しゃあああ!! 帰ってこれたぞおおお!!」
俺こと東雲涼太、十七歳の高校二年生は、異世界帰りの男である。
ついさっきまで異世界にいた。
二年前だ。
俺は、眠りにつき、目を覚ますと異世界に召喚されていた。
そこで魔王を倒したら、元の世界の元の時間に戻してくれる。
なんていう約束をされた。
あとは、一つ願いを叶えてくれる、というものだ。
まあ、よくあるラノベのテンプレ展開だと思ってくれればいい。
まさにその通りだったから。
こうしてこの世界に戻ってきているのだ、言うまでもないか。
俺は無事、魔王を倒すことに成功したわけだ。
そこで、一つ願いを叶えてくれるのだが、このステータスのまま、現実世界に戻してもらうことにした。
一体、本当にステータスはそのままなのだろうか。
「うむ、確認してみたい……」
久しぶりにスマホを手に持ち、俺は時間を確認した。
午前5時ちょうど。
「よし、まだ学校までは時間があるし、試してみるとするか」
もし仮に、ステータスがそのままならば、俺の人生イージーモードだぜ。
そもそも全て夢、なんて可能性もあるわけだし。
「やるだけやってみるか」
てなわけで、俺が選んだのは少し離れたところにある廃墟となったビルだった。
ここなら、物音がしても誰にも被害はなさそうだ。
俺は右手を伸ばし、柱に向かって、
「【
ほぼ魔力ゼロ消費な、威力の弱い炎の弾丸を放った。
異世界にいた時と同じように、弾丸の形をした炎が放たれた。
シュウウウ、と音を立てながら壁に消え、焦げた後だけが残った。
「こいつはすげえ。本物だ」
どうやら、本当にステータスがそのままみたいだ。
「他にも使えるよな? 【
【
超絶貴重な、大魔界にしか存在しない鉱石
、魔黒石でできた剣──暗黒魔剣ガルガ・グラルナフを取り出した。
「この魔剣を取り出せるってことは他の行動はなんでもできそうだな」
この魔剣は持つだけで、魔力をどんどんと吸い取られていくという厄介な性質がある。
こうして持っていてもなんともないのは、空気中に魔力があるからだ。
おっと、そうだったな。
当然、俺はチートスキルを持っている。
名前は、【
空気中にある魔力が自分の魔力になる。
そんなスキルだ。
「ふう、ステータスがそのままなわけだし、安心してイージーライフを送れそうだなあ」
などと思った、その時だった。
「ペンギュイいくよ!」
「ああ、変身だ!」
ふと、目の前からそんな女の声が聞こえた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます