第30話 結局…別れられない

長男に、お父さんと離婚したと伝えると

寂しそうに…

「そうか…分かった」と言った。


私は、離婚届けを出した足で生活保護の担当に離婚したことを伝えた。

その時の担当は同級生ではなく…

他の人に代わっていたから良かった…


私は、元夫に離婚届けを提出した事を伝えた。

元夫は生活保護の担当に、離婚したから住む所がないと言いに行き

「公園で寝るしかない」

と担当に言うと

「そうして貰うしかない」

と言われたと…

笑うしかなかった。


飲み屋のママは結婚していた。

だから、どこでどうしていたのか…

1度目の人生でも知らなかったし…

どうでも良かった…

後に、元夫は近くにマンションを借りた。


元夫は

「話がしたい」

と連絡して来たが…

「話すことはない」と突っぱねた。

すると「二男を遊びに連れて行こう」と言うから

私は、遊びに行くならいいか…

と思って行くことにした。


元夫は

「やり直したい、やり直せるように頑張るから考え直して欲しい」

と言った。

これから、どうなるか知っている私は、そんなの嘘だと分かっていた。

1度目の人生の私でも

そんなの信じられなくて…

戻る気は更々なかった。


それから、元夫は

荷物が残っているからと会いに来たり

「二男をどこかに連れて行こう」

と口実をつけては会いに来た。


正直、遊びに行くのは嫌では無かった。

私も、そういう面で元夫を利用していたのかもしれない…

6月は蛍を見に行き

夏は海や川に泳ぎに行ったり

花火を見に行ったり

冬はイルミネーションを見に行った。

でも、元夫の事をおかしいと思う事もよくあった。

私が、熱を出した時、二男を見て欲しいと頼んで

帰って来た二男に

「今日、お父さんと何したの?」

と聞くと

「おばさんも一緒に遊びに行った」

と言った。

元夫が、二男を川に連れて行くと言って

連れて行った時も帰って来た二男は

「おばさんとお姉ちゃんと小さい子と行った」

と言った。

私は、やっぱ相手はあのママか…

続いているんじゃないか…

と思いつつ、やり直す気も無いし…

どうでもいいやと思っていた。

そう思いながらも

会う事もやめられない自分がいた。


長男の卒業式にも一緒に参加した。

その後、ランチして映画を見た。

元夫の帰りを待つ心配も無い。

たまに会って、何処かに行って…

そんな関係が、すごく楽だった。


結局、別れられないんだよな…

そんな自分が、1度目の人生はすごく嫌だった。

でも、これを超えなければ…

私に明るい未来は無い…


長男は、高校を卒業して友達と住むからと家を出た。

就職も決まっていなかったからフリーター生活。

ある日、長男から

「話がある。彼女を連れて行くからお父さんも呼んでおいて」と言われ

元夫とも

「結婚したいとか言うのかな…まさか、子どもが出来たとか?」

と話していた。


長男が彼女を連れて帰って来て、話したことは、やはり…

「子どもが出来たから結婚したい」だった。

やっぱりか…

私、おばあちゃんになるのか…

知ってたけど…

まぁまぁ、ショックだな…


彼女は1歳年上の素直そうな可愛い娘だった。

良かった、何はともあれ長男が落ち着くなら安心だ。

長男は、これを機に就職した。


翌年、男の子が生まれた。

私は38歳でおばあちゃんになった…

二男は6歳で叔父さんに…

長男は私と同じ19歳で父親になった…


私は、ささやかな幸せを感じていた…

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