第24話 関わりを持った男達
元夫が逮捕された翌年、生活保護の担当が変わった。
お金を貰いに行った日、担当が変わったと紹介された人物は、中学校の同級生の男だった…
驚きと同時に、恥ずかしい…と思った。
生活保護を貰うだけならまだ良い…
夫が刑務所に行ってることは
ごく少数の人しか知らないのに…
中学校の同級生に知られるなんて…
そう思いながら帰った1度目の人生。
今回もそうなることを知っているとはいえ、やはり恥ずかしい。
ま、彼も守秘義務があるから
言わないだろうけど…
彼は、真面目な人だし優しい人だったから、まだ、良かった…
それから、私に近付こうとする人から突然、連絡があった。
その人は、元夫がよく行っていた奥さんの元旦那で元夫の知り合いの人…
「元夫が奥さんに会いに行っていたと聞いた。何をしていたのか…知りたくないか?知りたかったら、今ラブホテルにいる。子どもを連れて来てもいいから来て欲しい。待っている」
と言われた。
私は、何かされに行くようなもんだし…
もう今となっては、何をしていたのかなんて、どうでもよいと思って、行かなかった。
それから、連絡はなかったが…
だいたいは覚せい剤は夫婦でやるものらしいから、いいカモになると思ったのだろう。
ある日、ピンポンが鳴ったので出てみると、チンピラみたいな風貌の夫婦らしき人達…
どんな用件かと聞いてみると
元夫が借金をしていたから取り立てに来たという。
借金の相手は、私に女になれと言ったあの男だった。
頼まれて来たという。
「元夫は、懲役に行ってます」
と伝えると
「そりゃ、仕方ないわ」
と、あっさり帰って行った。
なんで、こんな仕打ちをするんだろう。
と怒りが沸き上がった。
やっぱり、黙ってはいなかったか…
これからも何かして来なければ良いけど…
と思っていたけど
そんなことも吹き飛ぶような事件が起こった。
ある殺人事件の犯人が捕まった後…
この男が、殺人教唆で逮捕された。
保険金殺人事件。
従業員に保険金を掛け、殺させたのだ。
その後、放火も発覚した。
裁判は長くかかったが…
この男は、無期懲役になった。
良かったと安心したけれど…
この男の奥さんはどうなったのだろう…
奥さんは、ずっと腎臓透析をしていた。
長くは生きられないと言っていたけれど
奥さんは大丈夫だろうかと思ったけれど、知るすべもなかった…
そんな中…
捜査員の人は、時々連絡をくれた。
いつしかお互いのことも話すようになっていて、長電話もするようになっていた。
唯一、癒されるひととき…
「逮捕した男の奥さんと、こうして話をしてることが分かったら、大変」
と言いながら、よく話を聞いてくれた。
この人のことを、好きになったりはしなかったけど…
本当に私の支えになってくれた…
この人は、まだまだ支えになってくれる人。
こうして、色々な人と関わりを持って…
月日は、流れて行った。
一度目の人生では、これから起こる辛い日々のことなんて知りもせず、元夫が帰る日を心待ちにしていた…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます