第五章 僕のIQは53万です(笑)

ACT.1 運ってね..実はいうとそんなに結果を左右しないんですよ

第40話


 休日だと言うのにアラーム前に目が覚めた。

 約二か月間で身に着けた週間というものは、よほど疲れていない限りほとんどピタリと同じ時間に目が覚める。


「朝か……」


 時計を見れば時刻は早朝五時頃を指し示している。

 春姫さんと日課のトレーニングをする。

 今日は休みということもあって念入りにジムで負荷をかける。

 手足がパンパンになったところで時計を見ると丁度お昼になっていた。


「春姫さん今日の予定は?」


「特にないわね。あ、そうだ今日二人でどこかに行く? デートの練習に丁度いいし……」


「めちゃモテ道の第三フェイズって奴?」


「そう。基礎はある程度できてるから後は実践と応用ってところだからスライムレベル1見たいな女の子で経験積むのが一番よ」


「随分な言い方だな……」


「高校生ならそれでもまだいいかもしれないけどね、早い子なら小学校高学年の頃には彼氏も作ってるし、そりゃあもう色々な経験をしてる訳よ……」


「ブフーッ!」


 僕は口からプロテインを噴き出した。


「汚いわね」


「春姫さんがいきなりぶっこんだこと言うから……」


「性別で言えば、私はぶっこまれる方で勇気くんがぶっこむ方なんだけどね」


「予想外の場所から下ネタが飛んでくるのはキツイって……」


「あら? これぐらいの下ネタで根を上げているようだと女子の間ではやっていけないわよ。レディースコミクなんて結構エグイ描写多いし、書店だと女児用の本の近くにはBLが置いてあるなんてことは日常茶飯事だしとにかく、男子のよりエグイのは当たり前ってことは覚えておくといいわよ」


「僕は男だ!」


「そう言う意味じゃないんだけど……まあいいわ」


 ズボンの中でスマホが通知を報せるために震えた。


「ごめん。通知来た」


「誰から?」


「ちょっと待って……」



〇杜馨

『今日暇なんだけどどこか遊びにいかない?』12:23



LIMEの主はドゥさんだった。


ドゥさんから……」


「なんて?」


「どこか遊びにいかないか? だって……」


「ふ~ん。いいんじゃない? 遊びに行けば?」


 なんだかトゲのある言い方が引っ掛かるものの、ドゥさんメンタルの方が気になる。



『休みの日には弁護士に相談行くんじゃなかったのか?』


『もう~返信遅い!』

『もしかして寝てた?』

『弁護士には相談?』

『って言うか依頼はもう終わってた』

『思い出してムカついたから気晴らししたくて……』

 


 と怒涛の連騰が続く……


 相当フラストレーションが溜まっているようだ。


「三人でどこかに行くってなるとどこがいいかな?」


「はぁ? ちょっとまって三人で遊ぶつもりなの?」


「そうだけど……痴漢の件でドゥさん相当フラストレーション溜まってるみたいだから、僕だけじゃ何ともならない部分もあると思って……」


「……確かにそう言う部分もあるかもね……でもドゥさんはアンタを誘ったの、同じ外国人って立場の二人や同棲の私、友達じゃなくてアンタを頼ったの……その意味考えなさいよね……」


意味って何だろう……? 痴漢の被害者と、助けた人間。クラスメイト、少なくとも僕の認識はそれぐらい。


 深いとは言えない希薄な間柄。


もしかして……それ以外の……友達?


「うん。判ったよ」


「……」


「異性の友達として一緒に泣いて笑って、遊んでくる……」


「いい? 女の子と二人で出掛けるんだから友達でもデート、いいえデートの練習だと思ってエスコートしなさい」


「大げさじゃないかな?」


「傷心の女の子に優しくしろって言ってるの! 友達が傷ついてる時には優しくするものでしょ?」


「確かに……」


「女の子だから更に優しくしなさいって言ってるだけよ」


「……」


「二人で困難を乗り越えて、痴漢から助けるヒーローとヒロインさらに傷ついた心に寄り添えば落ちない女はいないって寸法よ」


「ゲスくない? その手法……」


「いい? 恋と戦争にルールは無用なの」


「遵法精神とジュネーブ条約ぐらいは守ろうよ……」


「恋と戦争にとっては些末な問題……そうコラテラルダメージなのよ」


 最近二人で見た戦争映画の影響だろうか? やけに好戦的だ。



『了解。付き合うよ時間はいつにする?』


『30秒で支度しな!』


『昨日やってたよな天空〇城ラピュタ場所は入力しておいてくれ今から着替える』


『わかった。場所はXX駅前でお願い』



「――という訳で服選んでくれない?」


「はあ~義姉として完璧に仕上げてあげる。先ずは汗を流しましょうか?」


 こうして僕らはシャワー室に向かった。

 身だしなみの基本はやはり清潔感だろう。

 匂いや洋服の皺どちらかがあるだけでもみすぼらしく見える。


 それは靴にも言えるわけで……爪先やソールの部分もしっかりと磨いて汚れを落としてある。

 人は中身何て言うけれど、結局は見た目が第一。

 青髭が残らないように丁寧に髭を剃り保湿する。


「僕も変わったなぁ……人間きっかけがあればこんなに変わるものなんだ」


 ドライヤーを使って髪を乾かすと、両手に良くなじませたワックスで流れを付けてセットする。


「大分慣れて来たな……」


 でもなんか足りない。

 違和感が拭えない。


「やっぱり人にやってもらうのと自分でやるのとだとおお違いだな」


 時計を見ると時間がやばい。


「前髪が決まらないとか、恋する乙女かよ!」


 焦りながらワシャシャワシャ、クシュクシュと毛束を作り前髪を整える。


「まだだめね。私がやったげるから……」


「ありがと……」


「よし完璧! 十分格好いいわよ……他所の女にデレデレしないように気を付けなさいよ?」


「へーい」


「じゃあ行ってきます!」

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