第27話 おかゆ


「こっちのたまご味噌を入れても美味しいよ」


「ホントだ。そぼろかな? と思ったけど、甘じょっぱくて美味しいね」


 おかゆはそれ自体だと淡泊な味で特別美味しいわけじゃない。

 だからオカズや漬物と合わせると美味しくなる。


「ふーふーはしてくれないの?」


「自分で食べられてるししないよ」


「ちぇー」


 風邪の時に孤独感が増すというのは理解できる。

 甘やかしてほしいというのも……だけどいい歳した男女それも義理の姉弟がやるのは、痛々しい。


 市販の風邪薬を飲ませデザートのプリンを用意する。


「おいしそー」


「一個約100円のお得プリンだぞ」


「やったーいっぱい食べらるね」


「後で後悔するなよ?」


「?」


 これが後の大後悔時代の幕開けとなる。


「一回寝たらどうだ?」


 薬を飲んだとしてもそれで治る訳じゃない。

 症状を緩和するだけだ。

 

 しかし、春姫の体操服が汗で透けてていることに気が付いた。


「あ」


「どうかした?」


「着替えたらどうだ?」


「確かに汗かいちゃった」


 体操服の胸元を摘んで引っ張った。


 ベッドの上で上体を起こしている春姫に比べ立っている僕からは、大きな胸のⅠの字がはっきりと見えている。


 頭が働いていないのか安心してるだけかは判らないけど、もう少し注意をしてほしいなと思う。


「うわ! ほんとだすごい汗かいてる谷間なんか湖だね。シャツが張り付いて、冷えてて気持ち悪い。シャワー浴びたい……でも、立ち上がるのだるい……」


「着替えるだけでも大分変ると思うけど……」


「無理ぃ~ねえ。体拭くの手伝ってよ」


「タオルと着替えだけ用意するよ」


「意気地なし……」


「失礼な、理性との闘いだよ」


 蒸しタオルを用意する。


「背中拭いて」


「……」


 何となく言われる気がしていた。

 鏡を見ないでも判る。

 いま僕は困った顔をしている。


「黙ってないで早く拭いてよ」


「本気で言ってる?」


「本気も本気。いまなーんにもしたくないし大丈夫、見られて触られるぐらいなら最悪我慢できるしって言うか、気分の悪さでそれどころじゃない」


 春姫さんは本気だ。

 看護だからしょうがない。

 煩悩をできるだけ表に出さないように気丈に振舞う。

 

 色即是空、空即是色。


「体操服脱がせて」


「でも……」


「いいから」


 春姫の後ろに回るとバンザイした脱がす側の補助をしてくれる。

 するとタンクトップ? キャミソール? が見えた。


 「いいから」はブラの上に一枚来ているから大丈夫って意味だったんだ。

 それも脱がせると、最後に残ったのはブラジャーだけ綺麗な背中が見た。


「早く、お願い」


「慣れてないから何かあったら言うんだぞ?」


「ブラも外して……」


「……はい!?」


「いいから外してよ。あブラジャーって高いから気を付けてよね」


「じゃあ自分で外せよ」


「やだ。めんどくさい」


「はぁ……」


 理性ゲージさんが0になる前に終わればいいだけだ。

 

「はーやーくー」


 パチン。


 軽いクリック音にも似た音が部屋に響き渡る。

 ぱちんと小さくしかし確かに肌と肌がぶつかる音が聞こえた。

 ブラジャーと言う枷から解き放たれたおっぱいが、拘束されていた反動そして重力によって衝突し発生した音を聞き逃すほど僕の耳は遠くない。


「~んっ!」


 続けて艶めかしい嬌声が聞こえた。


「――ッ!」


 理性ゲージは速くも限界だと主張しはじめる。

 恐らくブラを外すときに、内側が乳首を掠めたのだろう。

 そうと判れば怖いものではない。


( 持ってくれよ僕の身体!…… )


 予想だが僕の体は持って三分か五分(つーか これが限界)。

 それを超えた瞬間、僕は社会的に死ぬことになる。

 覚醒まではいい。だがシン化してインパクトを起こせば僕らの関係はそこで終劇してしまう。


「じゃあいくぞ」


「うん」


 別のタオルで胸を隠しながら細い声で頷いた。


「~んっ! ……あっあぁあああ……。はぁあっ……きもちいい♡」


 予想を上回るエロボイスにびっくりする。

 そしてまた理性ゲージが消し飛んだ。


(ハート喘ぎ……だと……)


 登場初期こそ賛否両論だったこの表現も市民権を得て早数年。メスガキなどで多用されがちな表現だが、誰にでも判りやすい表現ゆえ忌避されただろう。

 

「へ、変な声だすなって……なんかエロいことしてるみたいじゃん」

 

「へ? エロいことってわざとじゃないし、だってタオルで拭いてもらうのき、気持いいし……はひぃっは♡ぁん…っ! …んぅっ……勇気くんの手ぇ、おっきいぃ……男の子なんだね…♡」


 拭く時に力を入れ過ぎても入れなさ過ぎても問題があるので、柔らかいベッドの上で体が揺れないように抑えつつ、必要以上に体に触れないように気を付けながら体を拭く。


 気持ちいいのかくすぐったいのか声を弾ませながらも会話を続ける。


(わざとやってるだろ……手が滑ったって言ってそのたわわ揉んでやろうか?)


 と獣性が暴走しかけるが理性で押さえつける。


「何をあたりまえのことを……」


「普段はダメダメだけどやっぱり頼りになる……私の目に狂いはなかったってことだよ♡」


「……」


「顔赤くなってる……♡」


 背中をあらかた拭き終えたので次は首や腕にうつる。

 細い細いと思っていたが春姫さんは、本当に綺麗な体をしている。






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転生魔術師・吉田直毘人~平安時代の陰陽師の俺が呪禁師一族の長男に転生したら、世界最大の魔力量目当てで名門貴族の許嫁ハーレムができました。許嫁と一緒に世界最強を目指します~


https://kakuyomu.jp/works/16818093088328511253/episodes/16818093088746172914

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