【完結】「測量技術で異世界を冒険！」 異世界に転生した測量技術者、松下真一がダンジョン認定士として活躍。ダンジョン調査と絶品グルメを楽しむ異世界スローライフファンタジー、開幕！

第13話 冒険の噂と出発

リンドウの村は、小さな市場が活気づいていた。露店には色とりどりの果物や野菜が並び、人々の笑い声と商人たちの掛け声が交錯していた。真一、アルト、エリザの三人は、その市場を散策しながら次の冒険の計画を立てていた。

「真一、このリンゴ見てよ。こんなに赤いリンゴ、見たことある？」アルトが手に取ったリンゴを見せびらかす。

「確かに立派なリンゴだね。買っておこうか？」真一は笑いながら答えた。

「リンゴもいいけど、もっと面白いものがあるかもしれないわよ。」エリザが興味津々で周囲を見渡す。

その時、地元の冒険者グループが三人に近づいてきた。「やあ、冒険者たち！ちょっと聞いてくれよ。」背の高い、筋肉質の男が声をかけてきた。

「何だい？また面白い話でもあるのか？」アルトが興味津々に尋ねた。

「実は、近くの森で『生きたダンジョン』を見つけたんだ。内部がまるで生き物みたいに動くって噂なんだよ。」男は興奮気味に話し始めた。

「生きたダンジョン？」真一は目を輝かせた。「それは調べてみる価値がありそうだね。」

エリザも同意し、「そのダンジョンはどこにあるの？」と尋ねた。

「森の奥にある洞窟だよ。でも気をつけろよ。中に入ると道が変わってしまうから、出てくるのが難しいらしいんだ。」男は警告した。

「それなら俺たちの出番だな。生きたダンジョンの謎を解明しに行こうぜ。」アルトは目を輝かせて言った。

「ありがとう、教えてくれて。早速準備を整えて出発しよう。」真一は市場で必要な物資を買い揃えた。

三人は市場での買い物を続けた。アルトはお菓子を多めに購入し、エリザは魔法の道具を整え、真一は測量機材を準備した。

「アルト、そんなにお菓子を買ってどうするの？」エリザが呆れ顔で尋ねる。

「冒険の途中で小腹が空いたら困るだろ？」アルトは満面の笑みで答えた。

「まあ、アルトらしいわね。」エリザは笑いをこらえながら言った。

準備を終えた三人は、森の奥にある洞窟に向けて出発した。道中、アルトが「生きたダンジョンってどんな感じだろうな？」と興味津々に語り始めた。

「たぶん、内部の構造が変わる仕掛けがあるんだろう。」真一は予測した。「動くダンジョンと同じように、音や振動に反応するかもしれない。」

「魔法が関わっている可能性も高いわね。」エリザも同意した。「内部での反応を観察しながら進む必要があるわ。」

森の中を進むうちに、空気が冷たくなり始め、やがて目的の洞窟が見えてきた。洞窟の入口は暗く、不気味な雰囲気を漂わせていた。

「ここが生きたダンジョンか…なんだかゾクゾクするな。」アルトは興奮を隠せずに言った。

「まずは洞窟の入口を慎重に調べよう。」真一は測量機材を取り出し、洞窟の入口を詳しく観察し始めた。

エリザは魔法の杖を手に取り、「内部の構造がどう動くのか、しっかり観察しながら進むわよ。」と決意を込めて言った。

「オッケー、みんな準備はいいか？」真一が声をかけると、アルトとエリザは頷いた。

三人は慎重に洞窟の中に足を踏み入れた。内部は暗く、冷たい空気が漂っていた。真一はランタンを点け、周囲を照らしながら進んだ。

「この壁、まるで呼吸しているみたいだ…」エリザは壁に手を触れながら呟いた。

「本当に生き物みたいだな。気をつけて進もう。」アルトは剣を構えながら警戒を続けた。

洞窟の奥に進むと、壁が突然動き出し、通路の形が変わり始めた。

「これは…ダンジョンが動いている！」真一は驚きながらも、冷静に観察を続けた。

エリザは魔法で壁の動きを感知し、「この動き、まるで何かのリズムがあるみたい。音や振動に反応しているのかもしれない。」と推測した。

「それなら、音を使ってダンジョンの動きをコントロールできるかも。」真一は音響測定器を取り出し、周囲の音を測定し始めた。

アルトは手を叩いて音を出し、「こうすればいいのか？」と言うと、壁が再び動き出し、新たな通路が開かれた。

「うまくいったわ。音が鍵ね。」エリザは笑顔で言った。

三人は音を使いながら慎重に進んでいった。途中、洞窟の内部には様々な仕掛けや罠が隠されていたが、真一たちは音と魔法を駆使してそれらを解明していった。

「この動く壁、まるでダンスをしているみたいだ。」アルトは冗談を言いながら、次の通路を開くために手を叩いた。

「アルト、君のリズム感が役立つとは思わなかったよ。」真一は笑いながら答えた。

「それにしても、このダンジョンは本当にユニークね。まるで生き物と対話しているみたい。」エリザは感心しながら進んだ。

やがて三人は、洞窟の最深部にたどり着いた。そこには巨大な心臓のような構造物があり、鼓動のようにリズムを刻んでいた。

「これがダンジョンの心臓部か…すごいな。」真一はその光景に目を見張った。

エリザは魔法で心臓部を解析し、「この心臓部がダンジョン全体を制御しているみたい。音のリズムで動きをコントロールしているのね。」と解説した。

「それなら、この心臓部をうまく操作すれば、ダンジョンの全体の動きを制御できるかも。」真一は地図を広げ、心臓部の動きを記録し始めた。

アルトは心臓部に手をかざし、「よし、これでダンジョンを完全に攻略だ。」と自信満々に言った。

三人は心臓部のリズムを調整し、ダンジョンの動きを制御することに成功した。真一は詳細な地図を完成させ、ダンジョンの全貌を記録した。

「やったわね、みんな。これで生きたダンジョンの謎が解けたわ。」エリザは喜びの声を上げた。

アルトはジョッキを掲げて、「また一つ、俺たちの冒険が成功したな。乾杯だ！」と言った。

「アルト、本当にどこでも乾杯するんだな。」真一は笑いながら答えた。

「それが俺の特技さ。」アルトは胸を張って答えた。

三人は笑いながらダンジョンを後にし、村へと帰った。彼らの冒険は成功し、新たな発見と友情の絆が深まった。

リンドウの村に戻ると、村人たちは彼らの無事な帰還を歓迎した。市場の喧騒の中で、三人は手にした地図と記録を確認し合った。

「これで村の人たちも安全にダンジョンに挑めるね。」真一は満足げに地図を見つめた。

「本当にすごいわ、真一。あなたのおかげでダンジョンの秘密が明らかになったわね。」エリザは微笑んで言った。

「さあ、次の冒険に備えて英気を養おう！」アルトはジョッキを掲げ、いつものように乾杯を提案した。

「また乾杯かい？」真一とエリザは声を揃えて笑った。

「もちろんさ、冒険者たちの恒例行事だろ？」アルトは笑いながら答えた。

三人は市場の一角で乾杯し、次の冒険に向けて英気を養った。彼らの冒険はまだ始まったばかりで、未知なる世界にはまだ多くの謎と挑戦が待っている。