洋館での出来事から数週間が経ち、正隆は日常の業務に戻っていた。由美は無事に回復し、徐々に普通の生活に戻りつつあった。しかし、正隆の心には、洋館での恐怖と謎がまだ鮮明に残っていた。

「洋館で起きたことを記事にするべきだろうか？」正隆はデスクに座り、ノートに向かって考え込んでいた。

その日の午後、正隆は上司の井上編集長に呼び出された。編集長は、最近起きた他の失踪事件について話したいと言った。

「正隆、由美の件以外にも奇妙な失踪事件がいくつか報告されている。」編集長は眉をひそめながら言った。「特に、町外れの森で数人が行方不明になっている。」

「それは…幽霊屋敷の事件と関係があるのでは？」正隆は即座に反応した。

「その可能性は否定できない。」編集長は頷いた。「君に調査を任せたい。」

正隆は再び調査に乗り出した。まずは失踪した人々の家族や友人に話を聞き、手がかりを集めた。彼らの共通点は、全員が町外れの森に行ったことがあるということだった。

「この森には何かがある。」正隆は地図を広げ、失踪事件が起きた場所を確認した。

翌日、正隆は町外れの森へと向かった。森は昼間でも薄暗く、不気味な静けさが漂っていた。彼は慎重に歩を進め、失踪事件が起きたとされる場所を探した。

「ここだ…。」正隆は足元に古びた道標を見つけ、その先へと進んだ。

森の奥深くに進むと、正隆は奇妙な石碑を見つけた。石碑には古代の文字が刻まれており、その周囲には枯れた花が置かれていた。

「これは何だ？」正隆は石碑に手を触れ、その冷たさに驚いた。

石碑を詳しく調べると、そこには失踪した人々の名前が刻まれていることに気づいた。正隆は驚愕し、さらに周囲を調べ始めた。すると、石碑の裏側に隠し扉があることを発見した。

「また隠し扉か…。」正隆は深呼吸し、扉を開けた。

扉の先には地下への階段が続いていた。正隆は懐中電灯を取り出し、慎重に階段を下りていった。地下室に辿り着くと、そこには古い祭壇があり、奇妙な儀式の跡が残されていた。

「ここで何が行われていたのか？」正隆は恐る恐る祭壇に近づいた。

突然、正隆の耳にかすかな声が聞こえてきた。それは、洋館で聞いたのと同じ声だった。彼はその声に導かれるようにして、地下室の奥へと進んだ。

「助けて…ここにいる…」声はますます鮮明になり、正隆の心を掴んだ。

地下室の奥で、正隆は囚われている女性を見つけた。彼女は失踪した人々の一人で、見るからに衰弱していた。正隆は彼女を助け出し、外へ連れ出した。

「大丈夫、もう安全だ。」正隆は彼女を抱きしめ、慰めた。

女性は怯えながらも、正隆に感謝の言葉を述べた。「ありがとう…私を助けてくれて…あの声が…」

「声？」正隆は興味深げに尋ねた。

「ええ…あの声が私をここに連れてきたの。」女性は震えながら説明した。

正隆は女性を病院に連れて行き、彼女が無事に回復するよう手配した。そして、編集長に今回の調査結果を報告した。

「この町にはまだ何か恐ろしい秘密が隠されている。」正隆は編集長に強く言った。「さらに調査を続けなければならない。」

「君の直感を信じよう。」編集長は頷いた。「引き続き調査を頼む。」

その夜、正隆は再び洋館を訪れた。彼は洋館の中で見つけた古代の巻物を持ち出し、町外れの森で見つけた石碑との関連を探り始めた。

「この巻物には、儀式の詳細が書かれている。」正隆は一人ごとを言いながら、巻物を読み進めた。「これが全ての鍵だ。」

巻物を読み進めるうちに、正隆は恐ろしい事実に気づいた。石碑と巻物には、古代の邪悪な儀式が記されており、その儀式を行うことで霊的な力を得ることができると書かれていた。

「この町で何が起こっているのか…」正隆は巻物を握りしめ、決意を新たにした。「この邪悪な力を止めなければならない。」

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