第3話雷子の姉ナオミ

八束孝(やつかたかし)も八束雷子(やつからいこ)も階段を上がる・・・。

無言だ。

 其れもそのはず、孝は公団住宅の階段をステンレスの手摺にノルディックを引っ掛けて上がっていた。

 素手で握ると冷徹な表面温度の低音が返ってくる。

10月だから未だ良いが、これが1月、2月の真冬ならば手摺と接着した掌が凍るような氷点下の体感で、握る掌の感覚が無くなり高齢者ならば手摺と掌が外れて階段から転落する恐れが有る。

 

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