第26話 こんなのばっかりか
この世界にも、前世における『穢れ』に似た考えはある。
いくら山賊の犠牲者とはいえ、遺体を触ったからには『穢れ』てしまった……と、考えるのが普通の人間らしい。
かくいう私も腐肉のこびりついた手や、腐臭が鼻を突く現状は中々に辛いものがあったので……ここは魔法を使うことにした。
「――
呪文を唱えると、まずは私の身体が光に包まれ、浄化された。手にこびりついていた腐肉も、身体に纏わり付いていた腐臭も消え失せている。
続いてライヒさんや他の騎士さんたちも浄化していく。これで本物の『聖女』であれば全員一気に浄化できるのだろうけどね。私はそこまでの存在ではないので一人一人するしかない。
「……いえ、
なぜかミアからドン引きされてしまった。あのミアから。不可解なこともあったものである。
「…………」
遺体の埋葬を手伝ってくれた人たちを浄化したあと。私はブレスレット――
よく見ると装飾の溝や隙間などに赤黒いものがこびりついているし、あの光景の通りなら山賊に利用され殺された子供たちの血なのでしょう。
「――
「うん?」
いや、噛みついたという表現は少し違うか。
私の左手首を包むように。ブレスレットとして装着するように。
あら? 開かないわね?
……もしかして、一度装備したら外せない系の呪いのアイテム?
…………。
勝手にマスター認定して魔力を吸い取る聖剣アズベインや、勝手に手首に巻き付いて剥がれない
王家の宝はこんなのばっかりか。
思わず突っ込んでしまう私であった。
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