第20話 聖剣(美少女)
子供たちがシチューを食べ終わったので、これからどうするかの確認だ。幸いにして
先ほどは片言でのやり取りだったので、改めて質問しなおす。
「お家がどこにあるか分かる?」
「……わかんない」
「う~ん、それもそうよねぇ……」
旅行に来たのならともかく、誘拐されたのだ。ここがどこなのかすら分からないだろうし、子供なら尚更でしょう。
「たぶん獣人の自治区出身だと思うから、王都まで行ってお家を探してもらおうと思うんだけど……。一緒に王都まで来てくれる?」
「わかりました!」
「……はい」
男の子は元気いっぱいに、女の子は渋々といった様子で同意してくれた。
あまりのんびりしていては日が暮れてしまうので、宿泊場所となる街を目指しましょうか。
「……その前に、お姉様。やはりその聖剣は目立ちすぎるかと」
少し言いづらそうにするミアだった。
「あー、やっぱり喪服に剣は似合わないわよね? 街では悪目立ちしちゃうかしら?」
「いえ、お姉様は何を着ていても似合いますし、剣を履いている姿も勇ましいのですが……お姉様の魅力を100とするなら、喪服姿で30加点、剣を履くことによって20加点。合計で150お姉様
分からない。ミアが何を言っているのか分からない。
ただまぁ『剣を履いた喪服女は悪目立ちするよ』というのは伝わってきたので、私唖改めて聖剣アズに問いかけた。
「ねぇ? やっぱり
≪断固拒否します≫
「でも、あなたって結構有名みたいなのよ。それにやっぱり喪服で帯剣というのも悪目立ちするし……」
≪……では、何とかしますので、私に魔力を注いでください。多めに≫
「? 魔力を注げばいいの?」
よく分からなかったけど、言われたとおり多めに魔力を注いでみる。総魔力の半分くらいでいいかしらね?
と、なぜかミアが呆れたような目で見てくる。
「……よく話も聞かないうちに流されて……。そういうところが
なんで妹分からお説教されているのかしら私?
年下からの扱いに私が首をかしげていると――視界が『ぐらん』とぶれた。
あ、これヤバい。
魔力の使いすぎで魔力欠乏症になったときと似た感じ……というか、まさしくそれだ。総魔力の半分くらいをアズに注ぎ込もうとしたのに、一気に
貧血ならぬ、貧魔力。痛む頭を押さえつけ、深呼吸をし、文句の一つでも言ってやろうと私が顔を上げると。聖剣アズベインが光を発し、目を開けていられないほどの眩しさが辺りを包み込んだ。
それとほぼ同時、私の腰から重さが消える。まるで聖剣が消え失せたように。
しばらくして、閃光が収まってくる。
やはり私の腰から聖剣が消え失せていて――
――メイド服を着た美少女が、目の前に立っていた。
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