第2回 私たちは最弱ですが、無敵なのです。
こんにちは、スケルトンのケビンです。こちらのコーナーは、地下でおこった小さな出来事から大空の大冒険、そしてスケルトンのクスっと笑える日常などをお届けするラジオ番組です!
2回目の放送ですね。
今回は、
「お仕事の流れについて知ってもらう!」
という内容でお送りしたいと思います。
このラジオを聴いてくださっている皆様の中には、スケルトンに依頼を出されたことがある方もいらっしゃると思いますが、スケルトン側の視点を想像したことはないのではありませんか?
私たちスケルトンは、基本的に地下にある、各自の部屋でお仕事の依頼が来るのを待っています。
お仕事の依頼は、すべてネクロマンサーさんの所へ届き、地下に向けてそのご依頼内容が読み上げられます。
そして、依頼が発表されると我先にとスケルトンたちはロビーに集まります。
なんせ、依頼されるスケルトンの数は一体から数百体までさまざまでありますが、私たちの性能はほとんど差がないので早い者勝ちで選ばれていくのです。
お仕事を勝ち取ったスケルトンは、地上にいらっしゃるネクロマンサーさん達に、直接、お仕事の場所に呼び出してもらいます。
お仕事は数時間の勤務のものもあれば、一年契約で毎日通うお仕事、泊まり込みで働くものなどさまざまあります。
では、期間の契約で毎日通うお仕事と、泊まり込みで働くお仕事の違いは何でしょう。
それは、スケルトンの数とお仕事場の広さ、そして料金です。
多くのスケルトンを雇い、お敷地内に比較的広い場所がある場合は、泊まり込みをお勧めします。
料金は、こちらのほうが安い場合が多いですね。
スケルトン自体の賃金は一体あたり雀の涙ではありますが、ネクロマンサーさんの仲介料、スケルトンの呼び出し料などは、ご存じの通り、安い、とは言えませんからね。
逆に、スケルトンを収容する場所があまり広くない場合は、スケルトンのサブスクをお勧めします。
翌朝、目が覚めたらスケルトンの数が減っていた、なんてことはよく起きます。
流石に、全滅してしまうことはほとんど起きませんが、お仕事に支障をきたしてしまうかもわかりません。
骨不足、とでもいうんでしょうか。
スケルトンは、脆いといってもそこまで小さな力で全壊するほどではありません。
ただ、骨が一本でも抜けてしまうと、もうダメです。地下行きですね。
料金についてはもちろん、毎回ご依頼されるよりはサブスク料金の割引が入っているためお得です。
先ほど私たちスケルトンはほとんど性能差がないと申しましたが、ずっと地下の個室で寝ているのもいれば、私のようにラジオ配信という夢のために日本語を勉強し、汗水たらして働いてお金を貯めるものもいます。
スケルトンには汗水なんてものはありませんが......
少し話が脱線してしまいましたが、スケルトンにもあまり働かない者と勤勉な者がいるのです。
では、勤勉なものがいるのはなぜか。
それは、お仕事をすることが好きなのかもしれませんし、何か欲しいものがあり、お金を得るためかもしれません。
脳みそがなくったって身体がすっからかんでも骨に染みた意思や物欲はあるのです。
でも、ご安心ください!
わざとお仕事を失敗したり、ご依頼されたことを放棄したりする、なんてことはしません。
それは、スケルトン界隈の暗黙のルールですし、楽して稼ごう、とは思っていないのです。
そもそもスケルトンは、働かなくても、お金がなくても生きていけます。むしろ、アンデットなので死ぬことができません。いや、生きていない、といったほうが正しいのでしょうか?
スケルトンは飲み食いはしないし、地下の部屋も全員に保証されています。
それに、どんなお仕事も苦ではありません。
死の恐怖がないスケルトンは、最弱ですが無敵なのです。
私たちにも、最弱で使い捨ての駒という自覚はあります。でも、これは誇りなのです!
何度、自分の身体が朽ちようとも、必ず再生する。
その事実によって他のどんな生物にも代えがきかない、使い捨ての駒という役割を得られるのです。
SKELETONにMは入っていませんが、使い潰されることが至高の喜びですので、心を痛ませず、湯水より贅沢にお使いください。
後半、少し熱っぽくなってしまいましたが、そろそろお別れの時間がやってきました。
今回は、
「お仕事の流れについて知ってもらう!」
という内容でお送りさせていただきました。
スケルトンの、お仕事に対する誠意を感じていただけた方は、是非、ご依頼の検討してみてください!
初めてスケルトンに出会った感想、雇ったスケルトンの愚痴や称賛、スケルトンのこんなところ知りたい、こんなコーナーやって欲しいなど、さまざまなお便りお待ちしております!
では、お別れです。
また、お会いしましょう!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます