―今来むといひしばかりに長月の有明の月を待ち出でつるかな

すぐ行くと言うだけなら簡単でしょう。しってる？秋の夜はとても長いの

―吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風を嵐といふらむ

一面になぎたおされた秋の草だから山風を”あらし”と言うのか

―月見れば千々にものこそ悲しけれわが身ひとつの秋にはあらねど

秋の胸に顔をうずめる私のことゆるしてほしいいまだけだから

―このたびは幣もとりあへず手向山紅葉の錦神のまにまに

この度は錦を纏った手向山捧げたく思いますかみさまかみさま

―名にしおはば逢坂山のさねかづら人にしられでくるよしもがな

さねかづらの赤い果実の内側はぼくたちだけの宇宙なんだよ

―小倉山峯のもみぢ葉心あらば今ひとたびのみゆき待たなむ

子どもらも今日のもみじを見れるよう小倉の山よ時を止めてくれ

―みかの原わきて流るる泉川いつ見きとてか恋しかるらむ

声色も髪の匂いも顔立ちも知らないのになぜ夢に現れるの？

―山里は冬ぞ寂しさまさりける人目も草もかれぬと思へば

なにもかも遠ざかって行く山里でだんごむしのように背中を丸める

―心あてに折らばや折らむ初霜の置きまどはせる白菊の花

霜なのか白菊なのかこの光に触れてもいいのか消えないだろうか

―ありあけのつれなく見えし別れより暁ばかり憂きものはなし

切るように視線を外した時のきみとおなじ顔してる有明の月

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百人一首第21-30番を題材につくりました。

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