cover No.11-20


―わたの原八十島かけて漕ぎ出ぬと人にはつげよあまの釣舟

堂々と大海原の荒波へ漕ぎ出たわたしを覚えていてくれ


―天つ風雲のかよひぢ吹きとぢよ乙女の姿しばしとどめむ

夜空より星を撒く乙女よ行かないでわたしが闇に閉ざされぬように


―筑波嶺の峯より落つるみなの川恋ぞつもりて淵となりぬる

わき出したわたしの恋は嵩を増し足つかぬほどになってしまった


―陸奥のしのぶもぢずり誰故にみだれ初めにし我ならなくに

陸奥のしのぶもぢずりの乱れ模様わたしの胸から消えていません


―君がため春の野に出でて若菜つむわが衣手に雪は降りつつ

春の野に出て行き雪をかきわけて若菜を摘んだきみを想って


―立別れいなばの山の嶺におふるまつとし聞かば今帰り来む

松の木は緑を絶やすことがない待つの言葉は私を留めておかない


―ちはやぶる神代も聞かず龍田川から紅に水くくるとは

千早振る神々も黙る紅に括り染めされた川のを見て


―住の江の岸による浪よるさへや夢の通ひ路人目よくらむ

夜中でも騒々しい波夢でくらい人目を気にせずいたらいいのに


―難波潟短き葦のふしのまもあはでこの世をすぐしてよとや

一瞬でも会えないなんてアンタわたしに一人で生きろって言うんだ


―侘びぬれば今はた同じ難波なる身をつくしても逢はむとぞ思ふ

肉体が砕かれるなら最後の息ほかならぬあなたに渡しに行く




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百人一首第11~20番を題材につくりました。

読んでいただきありがとうございます。

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