🧚♀️カクヨムコン10応募作品・マーダ『森の護り人・ファウナ』-ローダ第零章-
🗡🐺狼駄@ただ今ファウナ絶好調!
《プロローグ》 憧れた黒髪を結いし女性との邂逅
──西暦2140年。イタリア西南の地中海に浮かぶシチリア。
特に人工知能。AIが人の代わりにあらゆる分野で活躍し、
しかも結局人々は地球温暖化を止める処か、自分達の
──格差。
一部の富裕層達は、そんな地球ですら生きられる医療に
そういう違った意味で
西暦という言葉。最早ただの記号と化し、
「フハハハハハッ!! 見るが良いこの様をっ!! これが人であるこの俺一人が起こした奇跡よっ! なんと美しきことか」
シチリアの火山よりも上空へ上がった金髪の男が地上の
火山の噴火すら
恐らくこの火山は永遠に失われ、シチリア島の形そのものすら、変えてしまうことだろう。
「──クッ! な、何て馬鹿な真似を!」
そこで声高らかに笑うあの
自分も宙で静止しつつ、己の無力を大いに
「こんなことをしたかった、させたかった訳では決してないっ!」
細見の剣を引き抜いて、その愚かの
その編み込まれた長い長い黒髪と、腕に巻き付く帯状の
この女性の本質は踊り子の方であり、恐らく剣の方は
緑の瞳が
「こんなことをさせたくなかった? 何を言っているのかまるで判らんっ! これは貴様が俺に与えし力だろうにっ!」
「グッ!?」
斬り結び、さらに軽々と弾かれてしまう女の剣。刃を伝わる
「アーハッハッハッ!! 貴様が俺をこんな風に仕立てたっ! だからと言ってお前に従う義理なぞないわッ!
男が情け容赦なくその剣を
向かっていっておきながら、身を守るのが精一杯だと思い知らされる。
「──この辺りには俺を
戦いの最中に在りながら、なおも地上の様子に酔いしれる金髪の男。ビンテージワインをグラスの中で転がす様な異常たるその思考。
人の欲望にまみれた塊がこの男の
「──ムッ? 何だあの娘は?」
そんな地獄絵図から広がりゆく森林火災の最中に、
──一体何を
大焦熱地獄よりも
「ええいッ! 放ってなどおけるかッ!」
黒髪を結った女が男を捨て置き、少女へと向かい空を駆ける。人がこれ程まで空を飛べるのか。空気を切り裂く音すら聞こえる。
普段なら老若男女関係なく、己の自由としているのに、何故こうも
「わわっ!? ぶっ!?」
一気に迫り来る女性に片腕で拾い上げられ、顔を胸へと押し付けられた少女。金髪と蒼き瞳が女の胸に埋もれてゆく。
「馬鹿か貴様ッ! そこで一体何をしていた!」
勝手に救出した女が、またも身勝手な質問を容赦なく浴びせ掛ける。この問い掛けに少女は、胸の奥底にて小さな口をモゴモゴさせつつ幼き本音を此処に
「……き、
「は、はぁっ!?」
──不覚。
ただの幼子に綺麗と
綺麗…。そんな
それは同時にこの幼子が、この
独りの女と幼き少女。二人の人生の歯車を大いに狂わせたこの出来事。
シチリアという島の形状が変化する事件とは、比較する気にもなれぬ程の
よもや世界を歪ませる物語の1ページになろうとは……。当人達すら気が付かなかった。
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