夢見る自由

僕は僕を持て余している

溢れ出て仕様がないものを

小さな器に押し込めようとする


夜は優しい

夜風は気持ちいい

僕は溶け込むように目を閉じてみる


肌に張り付くような湿気も

ポツポツと降る雨の前兆も

熱帯夜の蒸すような熱気も


それすらも全て夜には

僕を包み込んだ

僕だけのものだと思った


静かな昂奮があった

夜と僕は溶け合い

境界線がどこまでも曖昧になって

けれど僕はこれ以上なく輪郭を持った


僕は全てから乖離して

自由になる夢を見ている

自由電子のように夜をあそぶ


そこにはもう

小さな器など存在せず

僕の心だけが宙を飛ぶ

そんな夢だ


僕に翼はない

夢を見ていることが幸せだった

夢は夢だから

夢見ることができるのだ

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