第34話 厄災女の恐怖の攻撃は王都の大半を破壊して国王の宝も消失させました

俺は元剣聖が古代竜とまともにやり合っているのを見て、剣聖の強さを改めて思い知ったのだ。


俺は完全に井の中の蛙だった。


俺が剣聖に勝てたのは絶対に剣聖が俺に対して手加減してくれていたからだ。


だから俺が勝てたんだと初めて判った。


更に、その傭兵バスターズのトップのキャロラインは悠然とリゾート地によくある優雅な椅子に座ってふんぞり返っている。それがとても絵になっていた。


なんかキャロラインだけは場違いだ。

余裕がありすぎるんだけど、キャロラインだから良いのか?

と思わないでもなかった。


剣聖が弾いた火球がキャロラインに向かって飛んでいってギョッとしたが、キャロラインはミラーでそれを平然と跳ね返していたし。


その後古代竜と剣聖の斬り合いの勝負になった。剣聖は古代竜と互角の勝負をしていた。


古代竜と互角の勝負するなんて、さすが剣聖だ。


俺はそう思った。


その間に剣聖とキャロラインがなにか言い合っていて、なんとその隙に古代竜がキャロラインの飛行船を火球で攻撃したのだ。


完全に剣聖も虚を突かれていたし、キャロラインも想定外だったみたいだ。


でも、キャロラインは必死に障壁を張ったらしい。


ドカーーーーーン


凄まじい爆発音が起こって周りは黒煙に包まれた。


凄まじい煙で周りは闇に包まれた。


でもそんな中で俺はとてつもない魔力の存在を感じたのだ。


それもとても怒っている。


恐怖だ。


俺はそれに恐怖を感じた。


凄まじい威圧を漂わせて、それは黒煙が晴れた後に現れた。


それは真っ黒になったキャロラインだった。


そして、それは端から見ても怒り狂っているのが判った。


怒りのオーラが周りを圧倒していたのだ。


でも、怒り狂ったキャロラインは煤まみれになっても美しい。

俺は再度惚れ直したのだ。


「よ、良くも私のアマテラスに攻撃してきたわね。もう許さないわ」

キャロラインは、いや、もう、キャロライン様と呼ぼうは両手を腰に当てて仁王立ちで叫ばれたのだ。


争っていた古代竜と剣聖がその瞬間止まった。


その二匹、いや一匹と一人はビクッと震えたのだ。


「やばい」

何故か二匹はいや、一匹と一人は顔を見合わせると一目散に逃げ出したのだ。


脇目もふらずに、ただひたすら真っすぐに。


「いや、まてよ。お前空飛べるだろう。空飛んで逃げろよ」

叫ぶ剣聖に古代竜が首を降るとなんと剣聖の後ろに回り込んだのだ。

「ええええ!」

剣聖が絶望してこちらを振り返るのと同時だった。


「死ね!」

キャロラインが叫んでいたのだ。


キャロラインの手からは凄まじい魔力の本流が剣聖と古代竜を襲った。


ピカッ

光が光って


ドカーーーーーーン

凄まじい爆発が起こった。

火柱が天を突き、爆炎で周りが真っ黒に染まったのだ。


俺は唖然とした。


こんな魔力攻撃がこの世に存在したのだと……


二匹、いや一人と一匹はその攻撃の時は、王都の城壁の前まで逃げていたのだ。

それがさらに被害を広げた。キャロラインの攻撃は大地を揺るがせるほどだった。


爆炎の晴れた後には巨大なクレーターが開いており、城壁はものの見事に無くなっていた。王宮の大半も吹き飛んでいたのだ。


そのあたりに散開していた兵士たちの大半は吹き飛んでおり、凄惨な状況だった。


民間人が避難していただけましだったろう。


俺はそこに、倒れ込んで気を失っている剣聖を見つけた。さすがの古代竜はキャロラインの怒りの攻撃の前にやられてしまったらしい。跡形も見えなかった。


その代わり、爆発に巻き込まれたのか、そこで蠢く黒く煤けた小さな爬虫類の動物を見つけたのだ。

そのトカゲのような生き物は剣聖の横でへばっていた。


「お、俺の王宮が……俺の宝が……」

俺の横でかすれた声がした。

そちらを見ると、そこには青くなって呆然として立ち尽くす国王陛下がいたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る