モバイルスーツ編 ついに異世界に『〇〇〇〇』が登場?

第27話 人形遣いのモバイルスーツ?

俺の名前はエイブラハム・バーン。人形遣いだ。


それもただの人形使いではない。


そう、俺様はこの異世界始まって以来の、いや違う、前世も含めて世界で初めてモバイルスーツを実用化した天才魔術師なのだ。


モバイルスーツとはなんぞや?


一言で言うと人形ロボットなのだ。

実際は人形使いの力を使って自分の体に土の装甲をつけて巨大化して、敵と戦うのだ……


何を馬鹿なことを言っているだと!

この世界は機動戦士の世界ではない!

ここはファンタジーの世界だ!


そんなのは100も承知している。


俺は前世の記憶持ちの転生者なのだ。


まあ、乙女ゲームなんてやったことはないけれど、俺は大のモバイルスーツ『〇〇○○』のファンだった。

そのプラモ買う金欲しさに、割のいいバイトをしていただけだ。

俺がやっていたのが、オレオレ詐欺の受け子だとは思ってもいなかったのだ。


老人から金を受け取って運ぶだけの簡単な仕事だと聞いていたのだ。

ただ金額が多いから泥棒にとられるのだけは注意するように言われただけなのだ。

それがかの有名なオレオレ詐欺のお金だなんて思ってもいなかったのだ。

後でお前は


「本当に馬鹿だな」

と見下されたし、

「どうしようもない間抜けね」

馬鹿にもされたけれど……

そんなの知るか。俺はどちらかと言うと引きこもり気味だったし世間には疎かったのだ。


俺は原チャリに乗って老人の家に行ってチャイムを押した。


そして、扉が開いたらそこにはいきなり警官がいたのだ。


「えっ?」

俺は驚いた。


何もやましいことをしていなくても、警官がいたら普通は逃げるだろう!


それも俺を獲物を見たような顔で追ってきやがったら逃げるしかない!

俺は原付きに飛び乗ると逃げ出したのだ。


「待てえええ」

警官の声に

「誰が待つか!」

俺は叫んで原付きを更に飛ばすと


ウーーーーーー


といきなり真っ赤なサイレンを鳴らしてパトカーが追いかけてきたのだ。


俺はなんで追われているか全く判っていなかった。


原付きのエンジンを最大に吹かして大通りに飛び出して……


ダンッ


そのまま走って来た巨大トラックに轢かれて跳ね飛ばされたのだ……




ガンッ

俺様は地面に顔面から激突した。

「痛い」

そう叫んで頭を押さえた。

「あれ」

でも、なんか変だ。大型トラックに跳ね飛ばされたのだ。

でも、痛いのは顔面激突した顔だけっておかしくない?

それもなんか少し小さくなっている。


そして、気付いたら、俺の眼の前に魔物がいた。


赤い瞳を光らせて俺に飛びかかってこようとしていたのだ。

俺の横には血を流して死んでいる夫婦らしい者がいた。


何故、トラックに跳ねられてなんでこんな事になっているのか判らなかった。そもそも眼の前で真っ赤な瞳をランランと輝かせている狼型の魔物がいたが、日本にこんな魔物がいたか?

俺は疑問に思ったが、考える暇は無かった。


いきなり魔物が俺に向かって飛びかかってきたのだ。

俺はとっさに身を守ろうとしたのだ。


なぜかそう思ったら周りの土が俺の周りに張り付いて装甲のような役割をしてくれたのだ。


ガブッ


狼型の巨大な魔物は俺に食いつこうとして俺の前に覆われた土に食らいついただだった。


「ガオーーーーー」

魔物は怒った。

そらあそうだろう。肉を食おうとしてそれが土だったら普通は怒るはずだ。


ガブッ

もう一噛み。

また土だった。

「痛てっ」

しかし、一部足がかすったみたいだ。


「ガオーーーー」

魔物は俺の血を見ていきり立った。


やばい、


このままだと殺される。


もっと強くならないと


「変身!」

俺は叫んでいたのだ。


この魔物に勝つためには強くならなければならない。


そうだ、良くアニメで見たモバイルスーツにすればこんな魔物一撃だ!


天才の俺様はそう思ったのだ。


周りから巨大な土の塊が飛んできて、俺様の周りに巻き付いて、俺様は巨大化したのだ。


ぐんぐん視線の位置が高くなって、魔物を見下ろしていた。


そう、そこには巨大なモバイルスーツ、人形ロボット『〇〇〇〇』がいたのだ。


「クイーーーン」

俺様に襲いかかろうとした魔物は流石に巨大化した俺様を見て驚いたみたいだった。


奴は逃げようとした。


許すか!


「キーーック」

「ギャーーーー」

俺はその魔物を蹴り飛ばしたのだ。


魔物は吹っ飛んで地面に叩きつけられてそれきり動かなくなった。


ここにモバイルスーツ『バーン』が完成した瞬間だった。


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