第五十八話 明日の予定は延期することに

 昼食はこの前の王家用の食堂で食べることになり、ドラちゃん用の食事も用意してくれることになりました。

 アーサーちゃんとエドガーちゃんと楽しく遊んだからか、ドラちゃんもお腹ペコペコみたいです。


「ハグハグハグ」

「「もぐもぐもぐ」」

「よく噛んで、いっぱい食べるのよ」


 シャーロットさんだけでなく、話し合いから戻ってきた王妃様とマリア様も、一生懸命に食べている一匹と二人を微笑ましく見ています。

 因みにドラちゃんは独り立ちしたドラゴンで体の大きさを変えられるのだけど、今は力が落ちているので一番小さい姿でいるそうです。

 力を取り戻すには、もう少しかかるそうです。

 すると、ヘンリーさんとシンシアさん、それにナンシーさんも部屋に入って来ました。


「皆さん、お疲れ様です」

「ナオ君も、休めたかな。しかし、会議というものは本当に疲れるな」


 ヘンリーさんは肩を揉む仕草をしているけど、大勢の人と話すのは本当に大変ですよね。

 席につくと、出された水をぐいっと飲み干していました。

 シンシアさんとナンシーさんも、ちょっとお疲れモードですね。

 アーサーちゃんとエドガーちゃん、それにドラちゃんは、お疲れの三人をチラッと見たけど直ぐに食事に集中し始めました。


「ああ、ナオ君に言っておくけど、ハイラーン伯爵の屋敷から他の犯罪の証拠も押さえた。当分は押収物の精査を続けるが、罪が罪なだけに厳しい処分は免れないだろう」

「シャーロットさんの件もありますし、それはしょうがないですね」

「全くだ。お陰で、明日の予定も潰れてしまったよ。ということで、明日予定していた王都周辺の森の浄化は延期だ」


 大きな事件だから、こればっかりはどうしようもないですね。

 あっ、事件であの三人の事を思い出しちゃった。

 あの三人は、このあとどうなるんだろうか。


「ヘンリーさん、その、あの事件を起こした三人はどうなるんでしょうか?」

「裁判にかけられて判決を受ける事になる。だが、この事件の対応が優先されるし、聴取を受けている最中だから裁判はもう少し先になるだろう。あと、バンザス伯爵経由で三人の実家の情報も聞くことになる」


 三人はまだ未成年だけど、大きな事件を引き起こしたからこればかりは仕方ないですね。

 でも、三人の実家は我が物顔で横柄な態度を取っていたから、キチンと答えるか微妙な気がします。

 僕にはどうしようもできないから、対応は偉い人たちにお任せですね。

 そして、午前中いっぱい追いかけっこをしていた面々は、お腹いっぱいになったので眠くなっちゃいました。


「うーん、眠いよー」

「すー、すー」

「キュー、キュー」


 というか、エドガーちゃんとドラちゃんは既に夢の中ですね。

 アーサーちゃんも、眠気が限界っぽそうです。

 僕はドラちゃんを両手で抱えて、抱っこしてあげます。

 そして、マリアさんもエドガーちゃんを抱っこして、アーサーちゃんの手を引いています。


「ほらアーサー、ナオ君にお礼を言わないとね」

「ナオにーに、遊んでくれてありがとうー。おやすみなさい……」


 まさに千鳥足って感じで、アーサーちゃんは僕に手をふりふりしながら食堂を出ました。

 このままお昼寝タイムに突入ですね。

 ナンシーさんも食事を食べ終えたので、今日はこのままオラクル公爵家に帰ります。


「ナオ君、また改めてお茶に呼ぶわね。今日は本当にありがとう」


 ニコリとしたシャーロットさんに挨拶をして、僕たちは部屋を後にしました。

 お茶会だけだったはずなのに、本当に色々とあったね。

 でも、シャーロットさんとドラちゃんを助けられて、本当に良かった。

 そして、屋敷に着いたら早速ドラちゃんに興味津々な人が現れました。


「おかえりー! あー、ドラゴンだ!」


 出迎えたセードルフちゃんが、僕の腕の中で寝ているドラちゃんを見つけて大はしゃぎです。

 でも、ドラちゃんはまだぐっすりと眠っています。


「セードルフちゃん、ただいま。ドラちゃんはお昼寝をしているから、セードルフちゃんもお昼寝を終えたら一緒に遊ぼうね」

「うん! 楽しみ!」


 リーフちゃんもドラゴンを見るのは初めてなので、セードルフちゃんの頭の上からドラゴンを見ていました。

 きっとお昼寝が終わったら大騒ぎになりそうだなって思いながら、僕は部屋に戻ってドラちゃんをベッドに寝かせました。

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