第三十話 凄い事が決まった
ちょんちょん、ちょんちょん。
ちょんちょん、ちょんちょん。
うーん、いつの間にか眠っちゃったのかな?
誰かが僕のほっぺを突っついているよ。
でも、まだ眠いよー。
という事で、おやすみなさい。
ぐう。
ちょんちょん、ちょんちょん。
ちょんちょん、ちょんちょん。
うーん、まだ誰かが僕のほっぺを突っついているよ。
まだ眠いけど、ちょっと目を開けて……
「あっ、ナオにーに起きた!」
「あー!」
アーサーちゃんとエドガーちゃんのドアップが見えました。
僕のほっぺを突っついていたのも、この二人ですね。
僕はムクッと起き上がると、見たことのない大きなベッドにいました。
目をこすりながら周りを見渡すと、苦笑しながらこちらに向かってくるマリアさんの姿がありました。
「おかーさま、ナオにーに起きた!」
「あー!」
「起きた、じゃなくてアーサーとエドガーがナオ君を起こしたんでしょう」
どうもマリアさんは、息子二人の行動を止めようとしてベッドに向かっている最中だったみたいです。
枕元を見ると、騒ぎで目を覚ましたスラちゃんの姿がありました。
うん、ここはどこだろうか?
「マリアさん、ここはどこですか?」
「ここは私とジョージの私室よ。ちょうどアーサーとエドガーもお昼寝をしていたから、ナオ君も一緒に寝かせていたのよ」
そっか、段々と思い出してきました。
シャーロットさんの治療をして魔力がつきかけてスラちゃんと一緒に眠っちゃったんだ。
まだ魔力が全快じゃないけど、だいぶ体調は良くなったよ。
「おかーさま、なんでナオにーにはお昼寝していたの?」
「ナオ君はね、ひいおばあ様の治療をして疲れちゃったのよ」
「シャーロットおばあさま!」
どうも、アーサーちゃんもシャーロットさんの調子が悪いのを知っていたみたいです。
すると、アーサーちゃんはぴょんとベッドから飛び降りました。
「おかーさま、シャーロットおばあさまのところにいくー!」
「アーサー、ちょっと待ちなさい。ナオ君も、起きたばっかりで悪いけどついてきてくれるかしら」
マリアさんは、エドガーちゃんを抱っこしながら僕に話しかけました。
僕も、まだねむそうなスラちゃんを抱いてベッドから降りました。
すると、待ち切れないアーサーちゃんが僕の手を掴んできました。
「いくよー!」
お昼寝して元気いっぱいなアーサーちゃんが、どんどんと僕を引っ張っていきます。
そして、あっという間にシャーロットさんのお部屋に着きました。
コンコン。
「おばーさま!」
「アーサーちゃん、入っていいわよ」
「はーい」
ガチャ。
元気いっぱいなアーサーちゃんの声だと、シャーロットさんも直ぐに気がついたみたいです。
すると、椅子に座っているシャーロットさんの姿がありました。
「シャーロットおばあさま、元気になった?」
「ええ、ナオ君とスラちゃんのお陰ですっかり良くなったわ」
「わーい、良かった!」
アーサーちゃんは、ニコニコしながらシャーロットさんに抱きついていました。
シャーロットさんも、にこやかにアーサーちゃんの頭を撫でていました。
そして、シャーロットさんは改めて僕に向き直りました。
「ナオ君、スラちゃん、私を治療してくれて本当にありがとう。ナオ君とスラちゃんは、一流の治癒師だわ」
「僕も、シャーロットさんが元気になって良かったです」
「ナオにーに、スラちゃん、ありがとー!」
今度は僕にアーサーちゃんが抱きついてきたけど、アーサーちゃんはニコニコが止まらないですね。
エドガーちゃんを抱っこしているマリアさんもいるので、みんなで座ってお茶にします。
すると、シャーロットさんが僕に話しかけてきました。
「ナオ君、体調は大丈夫? かなり無理をして治療したみたいだけど」
「お昼寝したら、だいぶ体調も戻りました。魔力も戻ってきています」
「そう、それは良かったわ。私を治療して逆にナオ君の体調が悪くなったら、とっても心苦しいのよ」
シャーロットさんも、ホッとした様子で話してくれました。
僕もスラちゃんも、ちょっと無理をしちゃったのは反省しないと駄目ですね。
そして、今度はマリアさんが話し始めました。
「ナオ君のお陰でおばあ様の調子が悪くなった理由が分かったから、おばあ様の部屋にある化粧品や薬などを調べているわ。少し時間はかかるけど、必ず原因を突き止めるわ」
「もし、誰かがわざとやっていたのなら、とっても悲しいことですね」
「そうね、とても悲しいわ。でも、あってはならないことよ」
僕とスラちゃんは捜査とかのお手伝いはできないから、無事に終わることを願うだけですね。
そして、マリアさんは更にビックリすることを教えてくれた。
「そういえば、ナオ君に勲章が授与される事が決まったよ」
「えっ、えっ? 勲章ですか?」
「この場合は、スラちゃんと合わせてだね。何せ、魔力が尽きるまで頑張って王太后殿下を病から救っただけでなく、その原因まで確認したのよ。根本原因を突き止めてからになるけど、これは決定事項よ」
な、何だか凄いことになっちゃって、スラちゃんもビックリしちゃった。
僕とスラちゃんは、シャーロットさんに元気になって欲しいと思っただけなんだよね。
「そうやって、何も下心なく頑張ったからだよ。私たち王族に接する人は、残念ながら下心を持つものが多いわ。だからこそ、ナオ君の存在は私たちにとってありがたいのよ」
「ナオ君とスラちゃんは、初めて会った私にも一生懸命に治療してくれたわ。それだけでも、とても凄い男の子とスライムだと思ったわ」
「ナオにーに、スラちゃん、すごーい!」
「あー!」
アーサーちゃんとエドガーちゃんも、マリアさんとシャーロットさんと一緒になって喜んでいます。
でも、僕だけでなくスラちゃんもきちんと認めてくれたのがとっても嬉しいと思いました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます