測量業(畑編)

畑に行くと社長ではなく、知らないおじさんと働くことになった。


おじさんは、畑部門の責任者だが、指示だけ出して、ほとんど自分では動かない。

大きく赤字を出しているとも聞いている。


しかも、残念なことに、わずかなやりとりをしただけで、この人とはどうも相性が悪いと悟ってしまった。

「ちょっと手伝ってくれ」という社長の軽い言葉にかすかな期待をかけてみたが、どうやら僕の就業期間に終わりは設定されていないようだった。


1ヶ月ほど経った頃、畑に新たな仲間が加わった。

美術大学を卒業したばかりの聡明な女性だった。

彼女は、新卒での就職先がブラック企業だったため、わずか数ヶ月でその職を辞めたという。

そのためか、争いを避け、できるだけ波風を立てたくないとも言っていた。

損な役回りを引き受けることに慣れてしまっているようで、他人を優先してしまい、いいように利用されてきたことが容易に想像できた。


ある日、彼女の作業風景がふと目に入った。

いつもと変わらない穏やかな横顔。

しかし、その後ろにはあのおじさんがやけに近くに立っていた。

嫌な予感に心がざわつき、目を凝らすと、彼の手が彼女の腰の辺りに伸びているのが見えた。

頭の奥が一気に熱くなったが、以前、彼女から「波風は立てたくない」と言われていたことを思い出し、そのときは何も言わずにやり過ごした。


その後、彼女と二人きりになれる機会を待ち、意を決して事の真相を尋ねた。

すると、彼女は小さくうなずき、淡々と語ってくれた。

そして、「私が我慢すればいいだけですから……」と言った。


彼女の一言に、胸が熱くなり怒りで涙があふれてきた。

どうして彼女が、こんな言葉を口にしなければならないのだ。

「こんな仕事、辞めるべきだ」

僕は本心から、そう告げた。

彼女のためを思い、迷いなく放った言葉だったが、彼女の表情は冴えなかった。

「でも、またすぐ辞めるわけにはいかないんです。以前の仕事も数ヶ月しか続かなかったので」


その自責の念に、彼女がどれほど苦しんでいるかを痛感した。

「選んだ職場が、ブラックだっただけで、君は何も悪くない」

そう伝えたが、彼女は俯き、「まだ頑張ります」とだけ言った。


僕は悔しい気持ちを抱えたまま仕事を続けた。

彼女はきっと、もっとつらい思いを抱えている。

彼女と相談し、了承を得て僕は社長に直談判に行くことにした。


彼女の状況と、問題を率直に告げた結果、社長は畑部門の解体を決断した。

そしてそれは、僕自身も職を失うことを意味していた。



彼女は次の就職先で今も働き続けている。

夕暮れの帰路で、時折すれ違う彼女のスクーターをちらりと見やり、僕はほっと息をつく。

スクーターとともに走り抜けていく彼女は、いつもしっかりと前だけを見据えている。

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