第28話 待って!師姐、冷静に――
冷小婵が呆れ果てたため息をつくやいなや、楚歌は再び得意げに手をかざした。「でも、師姐!まだまだ僕のスキルはこんなもんじゃないよ!見ててね、今度は――『エアサンダースラッシュ』!」
その瞬間、楚歌は宙に向かって派手に手を振ったが、何も起こらない。
「……あれ?」楚歌は首をかしげながらもう一度試す。「エアサンダースラッシュ!」
やはり何も起こらない。
冷小婵は腕を組み、じっと楚歌を見下ろした。「お前、本当に何も学ばないな。エアサンダースラッシュって、名前からしてそもそも怪しいだろ。」
「いやいや!今のは単なるウォーミングアップだよ!」楚歌は焦った様子で言い訳し、再び手を振る。「きっと次は――『必殺!シューティングスターウェーブ!』」
すると、彼の背後で突然、小石がポロリと落ちる音がした。楚歌は振り返り、小石を指差して叫んだ。「ほら!今の音、僕のスキルの効果だよ!」
冷小婵は完全に無表情で呟いた。「……ただの落石じゃないか。」
「そんなことないよ!」楚歌は必死に言い返す。「これも計算通りだ!このスキルの真価は、敵の注意を引きつける心理的なトラップにあるんだ!」
「じゃあ、私がそのトラップに引っかかったとでも?」冷小婵は微妙に眉を上げた。
「えっ……いや、その……まあ、まだ改良の余地があるというか!」楚歌は後ずさりしながら笑顔を引きつらせた。
冷小婵は深く息を吸い、拳を軽く鳴らした。「改良?じゃあそのスキル、私が試してみてもいいよな?」
「待って!師姐、冷静に――」
しかし次の瞬間、楚歌は冷小婵の拳の「ソリッドキャリッジ」によって空高く飛ばされ、きれいな放物線を描いて森の中へ消えていった。
遠くから微かに聞こえる楚歌の声。「やっぱり防御スキルも開発するべきだったぁぁぁぁ!」
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