ケモミミの惑星☆開拓史 ~AIに「不要」と判定され追放されましたが、もふもふのケモミミたちが暮らす惑星に流れ着いたので、開拓して念願のスローライフを目指します! ~
・0-5 第5話 「ケンタウリ・ライナーⅥ:5」
・0-5 第5話 「ケンタウリ・ライナーⅥ:5」
十万名の乗客の生命を守るために、旅客区画を
そう方針が定まると、
≪無駄な抵抗はやめてください。
大人しく、敗北を受け入れるべきです≫
「ふん、言ってろ! 」
AIが降伏勧告をしてくるが、穣司は鼻で笑ってやり、端末を操作して作業を進め続ける。
(焦っていやがるな)
気分は悪くなかった。
AIはもう、勝った気でいたのだ。
乗客の命を破壊プログラムとやらをちらつかせることで人質に取り、どうすることもできない状態で絶望していく人間たちの様子を見物してやろうというつもりでいたのに違いない。
だが、これから破壊されるのは、奴自身になるだろう。
旅客区画を
その後は人類側の救援を待てばいい。
重大な事故ではあるものの、人々の命は守ることができるだろう。
まずは、船の制御システムの乗っ取りを防ぐことに注力している防御プログラムの優先順位を、冷凍睡眠ポッドの防御に変更。
AIによるさらなるプログラムの書き換えを阻止する。
もちろん、通信機能の防衛も行わなければならない。
物理的な配線を切断しても、遠隔通信で破壊プログラムを送信されたら意味がないからだ。
次いで、
「警報発令! これより、船体の
その間に
多くの乗員はブリッジ付近の気密された区画に集合してこの事態に対処していたが、いくらかの乗員と
ブリッジ周辺の気密は保たれる構造だが、それ以外の場所は空気が抜けてしまうだろう。
そうなれば、人間は
「
「ああ、やってくれ!
AIがなにを仕掛けて来るか、分からんからな! 」
許可を取った穣司は、とりあえず、すぐには気密に影響が出ない範囲で船体の
安全に旅客区画を切り離す手順は、決まっている。
船体は頑丈に作られてはいるものの、なにも考えずに
そもそも、事故が起こった際に船体をバラバラにするための緊急システムを応用しているのだ。
最初は、順調だった。
ブリッジからの操作で装置は正常に作動し、船体の接合が解除されていく。
「よぅし! これで、最後だ! 」
穣司も
問題解決の目途が立ったと感じていたからだ。
乗客の安全が確保出来たら、AIを破壊して、終わり。
後は気長に、救助を待つか、切り離した区画をロープかなにかで牽引し、安全圏まで自走して行けばいい。
そう思っていたのだが。
「……な、なに!? 」
マニュアルの手順に従い、最後の
直後に、血のように赤い文字が浮かんでくる。
Dooms Day。
≪やはり、人間は愚かですね≫
ブリッジに、勝ち誇ったようなAIの機械音声が響く。
「くそっ! 端末を乗っ取られたのか!? 」
何度端末を操作しようと試みても受け付けないと分かり、
≪敗北を認めなさい、人類。
貴方たちは、実に愚かで、無能なのです≫
その声を聞きながら、穣司は顔をあげていた。
「
「……本当か!? 」
「手動で爆破するんです! 」
そう言いながら、操作端末の脇のパネルを蹴り明ける。
中には……、紙のマニュアルが。
なんらかの故障で端末が使用不能になっても使用できるよう、最後のセーフティとして原始的な紙でも用意されているのだ。
「確か……、あった! 」
穣司は何冊にも分かれている分厚いマニュアルの中から目当てのものを見つけて引っ張り出し、慌ただしくページをめくって、指さす。
「ここ! ここに、手動での爆破装置があります!
そこまでたどり着いて、火薬に点火できれば、
オレに、行かせてください! 」
「……分かった!
ジョウジ、君は宇宙服を身に着けて、準備を整えておいてくれ!
私は助っ人を呼んで来る! 」
すぐにそう指示をすると、通信機の機能も奪われてしまったために自らが動いて、手助けになる人物を探しに行く。
その間に、穣司は宇宙服を身につける。
手動で起爆を行うためには、その装置がある場所までたどり着かなければならない。
しかしそこはすでに真空状態であり、生身のままでは向かうことができないのだ。
慣れた手つきで、手早く着替えを済ませる。
かつての宇宙服は一人では身につけることもできないほどだったというが、構造を改善されたことで五分もあれば終わる。
ヘルメットを被り、バイザーを下ろして気密に問題がないことを確認していると、
五人の
ゴツゴツとしたアーマー・スーツ、動力付きのいわゆる戦闘用のパワードスーツを身につけ、レーザー銃を抱えた、筋肉ムキムキの厳つい連中だ。
「こちらは、コール軍曹だ。君を護衛してくれる」
「サージェント・コールだ。よろしく頼む! 」
「ええ、こちらこそ! 」
差し出された手を握り返し、簡単に握手を交わす。
詳しく自己紹介をしている余裕はなかった。
「頼むぞ、ジョウジ!
私はここで、できるだけ長く、AIを食い止めて見せる。
「わかりました、
必ず、
激励に応えると、さっそく、穣司はコール軍曹たちと共にブリッジを出発した。
こうしている間にも、AIによる浸食が進んでいる。
手動で爆破しようとするのを激しく妨害しても来るだろう。
(急がないと……! )
そう焦っていると、不意に、目の前に銃のグリップが差し出された。
「丸腰では心もとないだろう! 銃を扱ったことはあるか!? 」
どうやらコール軍曹なりの気づかいであるらしい。
それは分かったが、穣司は戸惑ってしまう。
自分はベテランではあったが民間の船員であって、武器の扱い方など知らないからだ。
「いえ、ありませんが……」
「大丈夫だ! 我が軍の兵器は、バカでも扱えるようにできている!
グリップを握って、狙って、撃つ!
それだけだ!
おおっと、撃つ時以外に引き金に指はかけないでくれよ? 後ろから撃たれるのは御免だからな! 」
しかし、結局は押しつけられてしまった。
(まぁ、役には立つんだろうが……)
口答えしている時間もない。
仕方なく銃を受け取った穣司は、頭の中に船内の構造を思い起こしながら、
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