第4話 捜査本部設置と情報共有
警察署の会議室に、氷川光一警部、中原淳一警部、田宮晶子刑事、そして芝岡雄三鑑識が集まった。会議室の中央には大きなテーブルがあり、テーブルの上には「山谷のディナー」で回収された証拠品や資料が整然と並べられている。壁にはホワイトボードが設置されており、南山宗吾を中心に関係者の写真やメモが貼られていた。
氷川警部がホワイトボードの前に立ち、チームのメンバーに向かって話し始めた。「皆さん、まずは今回の事件についての状況を整理しましょう。被害者は一流料理人の南山宗吾。彼は『山谷のディナー』で食事中に急に苦しみ出し、倒れてそのまま死亡しました。」
「まず、芝岡、南山の死因について報告をお願いします。」
芝岡鑑識が一歩前に出て、資料を手に取り説明を始めた。「南山宗吾の死因は青酸カリ中毒死と判明しました。彼が食べていたハンバーグには異常は見つかりませんでしたが、彼が飲んでいたワインのグラスから微量の青酸カリが検出されました。また、彼のカバンの中には新品のフライパンが入っていました。このフライパンは、南山さんが先月、水原鉄鋼で購入したことが判明しました」
「水原鉄鋼で特注か....水原鉄鋼で話を聞けばなにか手がかりがあるかもしれんな。」
田宮刑事がノートを開き、報告を始めた。「はい。『山谷のディナー』の従業員たちに聞き込みを行いました。その結果、南山は多額の借金を抱えていたことが判明しました。彼は自身のレストラン『南の島』を拡大するために、店主の山谷修吾からお金を借りていました。」
「なるほど、借金か。」
「では、南山と一緒にいた弟子たちについての情報はどうだ?」
中原警部が発言した。「邦方竜紀と高岡祐斗の二人です。邦方は10年前からの弟子で高岡はここ最近弟子になったようです。」
「そうか」
「そして、今後の捜査の方針だが」と氷川は続けた。「毒物の販売ルートを調査することが急務だ。青酸カリがどのように手に入ったのかを解明する必要がある。中原、田宮、は引き続き関係者への聞き込みを頼む。芝岡は毒物の調査を進めてくれ。」
氷川は一呼吸置いてから、全員に向かって意気込みを述べた。「この事件を必ず解決するために、我々の力を結集しましょう。南山宗吾の死の真相を突き止め、犯人を法の裁きにかけることが我々の使命です。皆、全力を尽くして取り組んでくれ。」
全員がうなずき、会議は終了した。捜査本部の雰囲気は緊張感に包まれつつも、各自の意志が一層強固になったことを感じさせた。これからの捜査が、事件の解明に向けて大きな一歩を踏み出すことになるだろう。
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