一冊のノート
祇斬 戀
賃貸
「このマンション、騒音トラブルが多くてね。前の住人も、上の階の音でノイローゼになったとか――」
不動産屋が苦笑いしながら鍵を渡してきたとき、ユカは少しだけ胸に違和感を覚えた。
けれど、家賃が相場よりかなり安い。都心でこの条件なら、多少の騒音は我慢できる――そう思った。
引っ越して3日目。
ポストに差し込まれた一冊のノートが、ユカの平穏を壊し始めた。
表紙にはただ一言、「記録」とだけ書かれている。
ページをめくると、日付と共に、ある人物の行動が分刻みで書かれていた。
7:13 起床
7:15 水道使用音
7:17 トイレ
7:23 冷蔵庫を開ける音
まるで、誰かが一日中、彼女の生活を見張っているようだった。
だが、その記録は――まだ、ユカがこの部屋に引っ越す前の日付から始まっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます