☆☆☆☆☆☆ 【魔法学園★マジックマスター】《Ⅰ》 ☆☆☆☆☆☆――リースリットと魔術基礎実習――

日傘差すバイト

初仕事

第1話



「えっと……確か……この辺りの筈だけれど」


 ある日私は、広い通りを歩いていた。

 通りの両側は高い壁で。


 美しい装飾の石畳が規則正しく並ぶ道は、歩みを進める度に、カツリカツリと靴音を奏で、静かな街並みに沁み込んでいく。


 植えられた木々の木漏れ日。

 鳥のさえずり。

 晴天の青い空。

 

 まだ肌寒さを感じる昨今は、冬が終わり、春に差し掛かった頃合いだ。


 そこを歩く私は、片手に持った地図に目を向ける。


 目指す場所はすぐ近くの筈だった。


 おもむろに立ち止まる。


 私は、空を見上げた。

 真っ青な空に燦燦と輝く太陽を、生い茂る葉の隙間から、手の影で目を覆いながら、その位置を確かめる。

 少し視線を移動させれば、薄いけれども、満月も星も、見ることができる。


――太陽、月、そうして星々の位置。


「……もう少し先かな」



 私は再び歩き出した。


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