最強転生者のゆかいなスローライフ生活SS ~モフモフとハーレム付きのスローライフに「さらに(S)」「しっかり(S)」しがみつく!~

茉莉多 真遊人

レブテメスプのトンデモ発明品(夢見る枕編)

ナジュミネ編

SS1-1. 夢見る枕は並行世界を見せる(ムツキとナジュミネ その1)

 このお話は、創世神に招かれて最強の転生者となって生まれつつも一人での生活が困難な呪いも代償としてたくさん持つ男が、モフモフとハーレムに囲まれるスローライフを送るべく日々しがみつくお話である。



「ふわあ……今日も良い天気だなあ」


 切れ長の目の中にある黒い瞳、彫刻かのように整っている顔、艶のある紫色の髪の毛、見るからにシュッとした身体つき、という理想的な美形の青年が身体を伸ばしつつ、大きな欠伸をしてログハウス調の家にあるデッキでくつろいでいた。


 彼の名前はムツキ。20歳前後の容姿に、長袖ワイシャツに紺色のチノパンというビジネスカジュアル姿をしている人族に属する者だ。


 彼のこの世界での目的は、スローライフを送ることだ。それもモフモフやハーレム付きのかなり贅沢なスローライフである。


「しかし、こう何もないと手持無沙汰だな……」


 ムツキはこのログハウス調の家の家主であり、その家の傍にある大きな世界樹とその周りに生い茂る木々からなる世界樹の樹海の管理者を務めていた。


 この世界には人族のほか、魔人族や妖精族、竜族、獣人族、半獣人族、魔物族、動物族ともいわれる鳥獣族、そのほか多種多様な種族が存在している。


 人族と魔人族は領土を巡って敵対し、妖精族は世界樹の守人として主に樹海に住み、そのほかの種族はまばらに定住しているのである。


「旦那様、退屈そうだな」


 その時、ムツキの後ろから凛とした女性の声がする。


 声の主はナジュミネ。彼女は、魔人族の中でも鬼族に類する角がない鬼であり、元・炎の魔王でもあり、現在ムツキの第二夫人として過ごしている7人いるハーレムの1人である。


 彼女はきめ細やかな白い肌をしていて、まるで陶器の人形が動き出したかのような華麗な姿と顔立ちをしつつ、ウェーブの掛かっている真紅の長い髪に真紅の瞳と釣り目がちな目を持ち、紅と白のコントラストがとても美しい美女である。


 彼女の服装は屋内だとピンク色のスウェットを上下に着込んだラフな格好な出で立ちだが、外に出る際は赤色が印象的な軍服を着込み並々ならぬ覇気を纏う。


「退屈と言うと聞こえが悪いが、まあ、ちょっとだけ面白いことがあるといいな、くらいには思っているな」


 ムツキは近くにあったロッキングチェアに腰かけた後、ナジュミネを手招きして自分の膝の上に誘っている。


 ナジュミネは少し頬を赤らめて躊躇いつつも、その魅力的な誘いを断ることができずに彼の膝の上にちょこんと座ってから、彼に甘えるためにもたれかかった。


 しばらく静かな2人の時間を過ごした後に彼女の方から口を開く。


「みんなで遊びに行くとか?」


「それもいいな」


「家でモフモフするとか?」


「それもいいな」


 ムツキがナジュミネの頭を撫で始め、彼女の提案にうんうんと縦に頷く。


「部屋で、その、妾と仲良くする……とか?」


「……それもいいな」


 顔を真っ赤にしたナジュミネの提案に、彼女の頭を撫でるムツキの手がピタッと止まった後、時間の流れを思い出したかのように再び彼の手が動き出す。


「いやいや、ここはあえて、ボクの発明品を使ってみるのはどうだい?」


「それも……って!? レブテメスプ!?」


 ムツキとナジュミネが思わず分かれて立ち上がる。2人の良い雰囲気をぶち壊して突如現れたのは、レブテメスプと呼ばれる少年だ。


 彼は、ムツキを小さくしたかのような容姿で、黄緑色の髪をマッシュルームカットにして、目が丸っこい優しい形をしており、灰色の瞳を有して、白衣に通した腕を組んで自信ありげな笑顔を浮かべて立っている。


 その姿はさながら居丈高の子ども科学者と言った風体だ。


「やっほー☆ 遊びに来たぜ?」


 レブテメスプはこの世界の創世神ユースアウィスが生み出した始祖の内の1人であり、人族の起源でもあったりする存在であり、【創造の両腕】という固有スキルを持つトンデモ発明家であったりもする。


「れ、レブテメスプ! せっかくの妾が出したなけなしの勇気を! 今、このタイミングのためだけに、どれだけ振り絞ったか分かるか!?」


 ナジュミネが怒りを露わにして敵意をむき出しにするも、その向け先であるレブテメスプは大して意に介した様子もなく、両手を前の方に若干出して、落ち着けと言わんばかりの仕草で彼女を鎮めようとする。


「まあまあ、落ち着きなよ☆ もっと面白い夢を見させるからさ☆」


「……面白い夢?」


 ムツキはレブテメスプの言葉に訝しげな表情で反応した。

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