第21話
「キューっ! キューっ! キューっ!」
意識を失い、次に目が覚めた時に俺が一番に目にした光景は子狐が俺の周りを「キューキュー」と鳴きながらぐるぐるとしている姿だった。
(何やってるんだ、こいつは)
相変わらず喋ることは出来ない。
なんか、正直記憶がちょっと曖昧だけど、俺が気を失う前に進化を開始する、みたいなことを言ってたし、喋れるようになってることを少し期待したんだがな。
「キューっ!」
そう思いつつも、自分の体に異常が無いかを確かめるために動き出すと、子狐と俺が目覚めたことに気がついたのか、いつも以上に大きくて嬉しそうな鳴き声を上げながら、俺に頬ずりをしてきた。
……せめて美少女の姿だったら、俺も少しは嬉しかったかもしれないけど、スキルを奪いたい相手の子狐からそんなことをされたってなぁ。
まぁいいや。
今はそんなことより、自分のステータスでも確かめよう。
あんまりよく分かってないけど、進化したみたいだしな。……多分。
レベル:1
名前:無し
種族:盗賊スライム
スキル:超音波Lv10、嗅覚強化Lv10、暗視Lv10、不意打ちLv10、打撃攻撃耐性(小)Lv10、聴覚強化Lv8、聖魔法耐性(極小)、毒生成Lv10、毒耐性Lv10、糸生成Lv10、噛みつきLv10、打撃攻撃Lv10、ファイヤーボールLv7、ウォーターボールLv8、隠密Lv2、俊敏Lv2、威圧、痛み耐性Lv2、農家Lv3、農具扱いLv2、地震、魔法耐性、我慢、投擲、体術、身体強化(小)、囮、咆哮、霧、透明化、透過、適応、瘴気耐性、弱点生成、風の刃、風圧、光る、ライト、フラッシュ
ユニークスキル:強奪Lv2
称号:転生者
……いや、なんだよ、盗賊スライムって。
確かに人間や魔物からスキルを強奪してきてるし、間違っては無いかもだけど、盗賊スライムは無いだろう。……ダサいって。普通に。
……ん? と言うか、強奪スキルのレベルが上がってるぞ!?
もう種族名がダサくなったとかどうでもいいぞ。
そんなことよりも、強奪スキルのレベルが上がったってことは、子狐からスキルを奪えるんじゃないのか!?
(強奪!)
そう思った俺は、未だに頬ずりをしてくる子狐に向かって、強奪スキルを発動した。
これでやっと子狐との関係も終わ──
【種族名九尾からスキルを強奪することに失敗しました】
「…………」
(強奪)
【種族名九尾からスキルを強奪することに失敗しました】
なんでだよ!
強奪スキルのレベルは上がったはずだろ!? なんで奪えないんだよ!
「キューっ! キューっ!」
はぁ。お前は呑気だな。
俺はお前のスキルが奪えなくてこんなにも落ち込んでるって言うのに。
まぁ、もう今はいいや。
どうせどれだけ粘ったって奪えないものは奪えないんだからな。
気持ちを切り替えていこう。
今は進化して何か変わったことがあるのかを確かめよう。
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