黄泉のクラリス ~想空からの手紙~

榊原 梦子

序文

黄泉のクラリス~想空からの手紙~


≪序文≫

 ≪かつて、古き時代、太古の時代、一組の恋人夫婦がいた。≫


 さすれば汝、えにしありて、恋のこよないかたみ、永遠(とわ)の契りとなりけり。

 天界にて結ばれんこと望みしが、

「いやいや、望みをかなえる道はあらず。

 あまりに遠い隔たりであり、

 高いみ空の星のようだ、

 高いところで美しく光っている」

 星を取ろうと望むものはない。

 きらびやかな光を楽しむだけだ。

 晴れた夜ごとに、空を仰げば、

 うっとりとしないものはなかりけり。

 はて、この二人に、連理の枝の、救いやありなむ。


                      (ゲーテの詩を一部引用)




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