お勉強です

その日の日中はゆっくりと各自で休息を取って、夜に行動開始する事になった。

シオンとアメリアが、この街で買った商品の検品をしていると、カノンが何をしているのか尋ねた。


「それは何をしているのですか?」

「これは、この街で買った商品について、商売できないか、調べているんですの」


すでに買ってきた商品で商売とは?

いまいちピンッとこないカノンにアメリアが説明した。


「───なので、まず市場調査をして、同じ物でもいくらで売っているのかチェックして、何処で高値で売れてるか記載します。さらに、普段は余り知られていない商品や、当たり前だと思っていた商品に、改めて活用方法がないのか調べている訳です!」


フンスッと何故か自慢気に話すアメリアに、まだ首を傾げているカノンにいった。


「安い所で買って、高い所に売るのはわかりますが、活用方法とは?」

「フッフッフッ!例えば、これは知っていますか?」


アメリアは土芋と赤芋を見せた。


「ええ、毒のある物ですよね?赤芋の方はたまに観賞用で、育てている貴族がいますが……?」


「ですよねっ!私もそう思っていたんですが、南の王国では食用として食べられているんですって!」


!?


「えっ!だって毒がありますよ!?」

「土芋は緑の芽が毒があるそうで、この茶色い実の方は毒がないんです!赤芋は、毒々しいのは見かけだけで、食べると甘くて美味しいんですよ!」


カノンは衝撃を受けた。

土芋は繁殖力が強く、他の畑で見つかると駆除する物だったからだ。


「正直、帝国は一部の文化が他国より劣っています。私はそれを見つけて、国力を上げて、民に飢える事のない統治をと考えています」


そう言って微笑むシオンの横顔が印象に残った。


「本当に食べられるのか?」


クスリッとシオンが笑った。


「実は昼食は土芋を調理したのもだったんですよ?料理のできる物に作らせました」


なっ!?


そういえば、見たことない食材の料理でとても美味だったと思い出した。お代わりまでしたんだった!?


「養蜂場の技術も未熟で、ハチミツも余り採れない。国内で砂糖の代わりとなる甘味調味料があるのに知らない。本当に勿体ないですわ」


「なに?輸入以外で帝国の国内で砂糖が生産出来るのですか!?」


「ええ、正確には砂糖に代わるものですが。でもまだそれを教えることは出来ませんよ?」


「どうしてですか!?」


カノンは喰い付いてくる。


「私が日曜の妃になる為の切札だからです。特に甘味料である砂糖は南の王国との戦争の火種となっています。王国が無駄に高い関税を掛けています。それが帝国国内で生産出来るようになれば、王国に対して大きなアドバンテージを持つ事になり、王国もその他の嗜好品の税を下げざる追えなくなるでしょう。私は帝国という【国】に圧倒的な収入と言う資金を恒久的に提供する事で、王妃の位を買うと決めたのですよ」


カノンはシオンの計画に驚いた。

確かに今までにない帝国に利益をもたらす、素晴らしい計画だ。教えて貰った土芋と赤芋だけでも、飢えを減らすことのできる発見だ。


しかも、これからずっと利益を産むとなると、その金額は天文学的なものになるだろう。


なるほど。

シオン令嬢が帝国を周っている本当の目的がこれという訳か。行く先々で帝国の貴族が不正をしている状態で申し訳ない。


カノンことゼノン皇帝は、帝国の貴族の不正を根絶してやると誓うのであった。


「シオン令嬢はどうしてそこまでするんですか?」


フッと気になり自然と口にでた。

アメリアと同じ事を聞かれて、同じ事ををシオンは話した。


「そ、それは大変申し訳ない………」


ここにきてカノンは、ゼノン皇帝はシオンがそのよの様な目に会うとわかっていたので、妃の儀から辞退できる様にしたのを思い出した。


しかし、ここで辞退させるには余りにも惜しい逸材である事も理解してしまった。


結局、説明できないまま夜を迎えることになるのだった。





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