驚きの発見
アメリアが土芋(ジャガイモ)や赤芋(サツマイモ)の事で驚いていた。
「あ、赤芋は甘いのですね!?こんな甘いもの初めて食べました!」
「そうよ。どうしてこっちは食べ無かったの?」
シオンは不思議に思っていると、どうやら帝国では赤色の食物は観賞用であり、食べるものではないそうだ。まぁ、赤いと毒があると思われているようである。
「甘い食べ物は帝国にはないの?」
「ありません。あるとすれば果物ぐらいです」
!?
「さ、砂糖は?」
「砂糖は南の王国が貿易で輸入して独占してます。不当に高い税を掛けて、滅多に帝国には入ってきません」
あっ!戦争の理由がそうだった。
長年、帝国が港を欲して戦争を仕掛けるし、王国側も嫌がらせに、嗜好品に高い税を掛けているんだったわ。
国の利益の為に一部の商品の交易はしているけど。
しかも、帝国の反対側は4つほど国を挟んで初めて港がある。帝国には交易品が入ってこないんだ。
なるほど。それで香辛料も少ないから食文化が発達しなかったのね。貿易は利益以外に国を発展させる1番の有効的な手段だ。
向こうにない物を輸出し、こちらにない物、もしくは必要としているものを輸入する。それには、他国の医学書だったり、各国々の植物辞典だったりと、国を発展させる品々が入ってくる。
すなわち情報だ。自国が他国より文明が劣っているのかどうか判断できる材料にもなる。
帝国は、ほとんど自国内で発展していったので、一部の文化が遅れているのだ。
北とは友好的に交易をしているが、大陸外からの品物は滅多に手に入らないだろう。
もし、帝国内で甘味系の調味料が自国生産できれば、王国に対するアドバンテージを手に入れる事ができ、王国も砂糖など一部の税を下げざる負えなくなる!
ここだ!
シオンのやるべき事が見つかった!
よし、ハルとアキが戻ってきたらすぐに相談しましょう!
シオンがやる気を出した時はすでに夜になっていた。そしてようやくハルとアキが戻ってきたのだった。
「お待たせ致しました。情報が集まりましたので御報告致します」
広い部屋を選んだけど、これだけいると狭く感じますね。
「シオンお嬢様、あの捕らえていたゴロツキ共の尋問も終わりました」
「ありがとう。何かわかった?」
騎士達は顔を渋めて話した。
「余り話したくない事なのですが、ここの領主は奴隷売買にも手を出しているようです。借金を返せない女性達を、奉公に出すと言う名目で、各地の娼館に送ったり、特殊な性癖のある金持ちに売り飛ばしていたようです」
バキッ!!!
シオンの持っていた扇が壊れる音がした。
怒りが滲み出ている。
「へぇ~?たかだか男爵風情にそこまでできるとは思えないわね。その上が居そうね?」
「それとアメリア殿の引取り先である商店も、今月分の税は払いましたが、明らかに不当な税を支払わされています。みかじめ料として払わないと、男爵の雇ったゴロツキに店を荒らされるそうです。衛兵も賄賂を貰い見てみない振りをしているようです」
そこでハルとアキが報告した。
「はい。その話に通じるのですが、アクダイカーン男爵の屋敷に女達が監禁されています。一ヶ月に一度、集めた女を何処かに輸送するみたいです」
「それと、アクダイカーンの屋敷から、不正売買や奴隷売買の証拠である証文を見つけてきました」
「よくこの短期間で見つけれたわね~」
ペラペラッと契約の内容を確認していく。
「男爵はだらしない性格のようで、自室にある大きな目に付く金庫に、そのまま閉まっていました」
いや普通、監査や立入調査が入った場合に備えて、隠し金庫などに隠しているのでは?
「アクダイカーン男爵はバカなのね………」
「それには同意します。しかしバカにこれだけ大きな不正はできないかと」
そうなのよね。
バカにこれだけ大規模な不正はできないのよ。
やっぱり黒幕がいそうね。
「あ、忘れていました。今夜が一ヶ月に1度、女の子達が移動させられる日です。流石にどこに運ばれるかまでは調べれませんでしたが」
「それを早く言いなさい!すぐに助けに向かうわよ!」
ドタドタと慌てて出かけるシオンにアメリアも付いていくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます