やるべき事
シオンがやろうとしている事は、市場調査だった。
シオンは自分の身を守る為に本気で王妃の座を狙いにいくつもりだった。
目標を定めたら、それに向かって邁進するのがシオンだった。まぁ、その目標が間違っている事もあるのだが。
王妃になるには自分が有能だと証明しなければならない。まずは帝国の各街や村の特産品の調査から始めた。それと同時に、赴く領地で足りていない物や、街道の整備状況などなど、各項目をあらかじめ用意していた用紙に書き足していく。
帝国は荒れた土地が多く、農業には向かない土地である。無論、まったく育たない訳ではなく、小麦は南の地方で。西側は放牧地として牛と馬の酪農が盛んだ。
北側は雪が多く降る地方で、羊の酪農をやってるいる。帝国は畜産業が全体的に盛んで、肉とチーズが有名である。東の地方は葡萄畑があり、ワインを作る工場がある。ワインも中々有名である。
シオンは南の方から東側を周り、時間があったら北側まで足を伸ばそうと考えていた。時間的に広大な帝国の西側まで1ヶ月足らずでは行けないので、妃選定の儀が始まったら、王宮に顔を出してから向かおうと考えている。
訪れる場所で、何か儲け話がないかなど、見つけた作物や工芸品などを真剣にチェックしていた。
「この街では突起して、これはっ!て物はないようですね」
「確かに国境に近いので、両国の品物が多いぐらいですかね」
まぁ、いきなり何か見つかるとは思っていないしね。
「ここは一泊したらすぐに次の街に向かいましょう」
こうしてシオンの帝国漫遊記が始まったのだった。
いやいや!違うから!?
帝国の眠っている特産品などを見つける為だからね!
と、ナレーションさんにツッコミしつつ、次の街に向かうシオンだった。
それからシオン一行は、帝国の東側の地域を目指した。
「あら、ここから街道の道が荒れてますね?」
ある所から境に道がデコボコしてたり、草が栄えてたりした。
「恐らくここから領地が変わるのでしょう。街道整備は領主の仕事ですから、他の領地の整備は勝手には出来ませんので」
「なるほど。ここからは無能な領主の管轄って訳ね」
ここまで露骨に街道の途中から道が荒れるのはそこの領主の怠慢であろう。
「ここは帝国でも国の端、辺境と言っても差し支えない場所ですからね。国もそこまで管理できてないのでしょう」
「なら、ここの領主が余程無能なのか、作物が育ち難い場所なのか、はたまた───不当な税を取り立てているのか………」
ここは南の地方だ。王国と気候が近いので、まだ育ち易い土地のはず。ならばやはり──
シオンは向かう領地でのやるべき事を見据えるのだった。
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