第2話

 とある町にある三階建ての一軒家。シェアハウス「ネーブル」。赤い屋根瓦がトレードマークのこの家は、玄関の扉にはステンドグラス風のデザインが施され、部屋に入ると、そこには南米のような世界観が広がっている。そして住宅の横に広がる庭に植えられたネーブルオレンジの木は、今年も可愛らしい花を咲かせて住人たちを出迎える。


 そんなシェアハウスに暮らすのは個性豊かな男女五人。アパレル販売員の飯田智秀いいだともひでは、熱男タイプで住人らを引っ張る存在。昔ながらの写真館で、カメラアシスタントとして働く柄本錦えもとにしきは、ニヒルな性格ゆえに時として住人らを困惑させている。高校で国語の教員をしている槙野猛まきのたけるは、真面目で頼り甲斐のある存在。中学で社会の教員をしている荻野茉菜おぎのまなは、行動力があり、周りを陰ながら支えている母親的存在。美大を卒業後、デザイン会社に入社した金子ミサは、純粋無垢で明るい性格の持ち主で、みんなから愛されている存在。


 「個々を大事に、時には協調性を」という、初代オーナーが大切にしていたモットーそのものの時間が流れるこの空間は、ある騒動を境に、日々目まぐるしいほどに動き、次第に協力的になっていく。

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