第12話 飛んで火に入る

「ようこそいらっしゃいました!!どうぞ、お入りください!!」

 旅先にふらりと寄った村の旅館で、私は猛烈な歓迎を受けた。

 どうやら久々のお客らしく、旅館の女将は喜々として私をもてなしてくれた。

 

 貸し切り風呂をいただいた後、豪勢な夕食を食べながら私は久々のお客に張り切る女将の話に耳を傾けていた。

 女将が私に話してくれたのはこの村の歴史だった。かつてこの村には化物がいて、村人は貢ぎ物をすることで命を取られずに済んでいた。貢ぎ物をするのは五年に一度。これまでは村の者で賄っていたが村の過疎化の影響で年々人が減り、今年は貢ぎ物を用意できないと嘆いたという。そんな時私が村にやって来た。女将は私の来訪をとても喜んでいた。

 彼女は私の手取り深々と頭を下げる。

「この村を訪れていただき本当にありがとうございます。それでは、さようなら」










 ガブリ

 

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