忘れて全部
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01 出会いは最悪
世間から超進学校と言われ、有名な中高一貫の
僕は、なんでも得意で完璧だ。
とあることを除いては…
春、高校受験から新しい人達がうちの高校に入学してくる。
男子校のため、女子は入学してこない。
それでも、僕は楽しみだ。
新しい出会いは人を変えるから。
「君が西園寺かなたくん?」
パンを咥えたまま話すような声をした人が後ろから僕に話しかける。
「え〜と、君は誰?
てか、なんでパン咥えてるの」
「ああ、俺のこと?」
「君しかあり得ないでしょうが」
「俺は一条あさひ。
この春、ここの高校に入学する生徒。よろしく」
「一条くん、よろしくね」
「突然だけどさ、会場まで案内してくれない?」
「その前に、パンを食べきったらどうかな?」
「あ~ごめん、行儀悪いよな、食べきるわ」
そう言って、一条くんはモグモグと食パンを食べる。
なにもつけずに食パンを食べるなんて、美味しいのだろうか?
「食べ切れねー、食べる?」
「いや、人の食べくさしは好きじゃな…」
「あーごめん。無理やり口にいれちゃった。
西園寺くんって良いところのお坊ちゃんなんだっけ?」
「そうだけど、なに?」
「恋愛ってさ、したことある?」
「…したことない」
「じゃあ俺が教えてあげよっか?恋愛」
「どうやって?」
「さぁ、やってからのお楽しみ」
「じゃあ、お願いします…
というか、なんで僕を知ってるの?」
「そりゃ有名じゃん。
お金持ちで成績優秀、模試で一位。
うちの中学は全員西園寺くんのこと知ってたよ」
「僕が…有名…?」
「そう、有名。
西園寺くんと関わりたくてさ〜中高一貫からきたんだけど〜」
「えっなんで…」
「だから、言ってるじゃ〜ん!
かなたくんと関わりたいだけだよ」
「同じクラスだといいね…」
「同クラ確定だろ、学力同じくらいだし。」
一条くんは余裕そうな素振りで僕に話す。
僕と違って一条くんは、成績優秀で恋愛経験があってコミュニケーション能力があるみたいだ。
正直、羨ましくてたまらない。
僕は完璧でもなんでもなかったのだろうか。
「お〜い、どした?俺に圧倒でもされた?」
「いや、されるわけないじゃん」
「だろうな、したら驚くわ」
「さて、そろそろ教室行かない?」
「そうだな、行くか」
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