いつもと違う学校!?
第4話 いつもと違う学校!?
次の日に学校に行くわたし。みんなに向かって元気に挨拶をするのがわたしの特技!
「おはよーみんな!」
「……」
シーンと静まり返った下駄箱の前で、なんだかいつもと様子が違うなぁと上履きを履く。
そういえば、カムイ、とかいう世界での出来事がこっちの世界にも影響しているって言っていたな。
みんなから無視されているみたいでしょんぼりしながら廊下を歩いているとクスクスと笑い声が聞こえてきた。
「あ! なになに!? なにか面白いことあったの? わたしも話に混ぜてよー」
なるべく元気に声をかけたのに、みんなわたしの顔を見ると逃げていく。なにこれ、いつもと学校が全然違うよー。楽しくないっ!
「あの……大和さん、背中に貼り紙が……」
メガネをかけた女の子がわざわざわたしに教えてくれた。超親切じゃん! って、こんな女の子クラスにいたかな?
「あ、わたしは同じクラスの中島みうです。いつも存在感が薄いって言われてます……」
「そんなことないよ。 あ、数学10点なんて書いてある! もう! 一体誰だろう、こんなイタズラして! ありがとう、みうちゃん、これからは友達だね! わたしのことはひみこでいいよ!!」
「あ、あの……ひ、ひみこさん。その……」
「マイペースでいいよ! 話すのが苦手な子もいるからね。それにしても……みうちゃん綺麗な声してるね! すごいよ! 声優さんみたい! こんなすごい子がクラスにいたなんて。みうちゃんは歌とか得意なの?」
わたしとみうちゃんが話していると、クラスの女子がみうちゃんに肩をぶつけてきた。
「おい! なんでお前はひみことしゃべってんだよ。クラスのみんなで無視するって決めただろうが……」
ええっー!? いつの間にそんなこと決まっていたの?
「だ、だっておかしいじゃないですか。あたしみたいな地味な娘ならともかく、ひみこさんはクラスの人気者だったし……」
「口答えしてんじゃねーよ!」
「ちょっと! ひどいじゃない! わたしのことはともかく、みうちゃんに暴力は振るわないでよ!」
そうだ。だって、もともとの原因はわたしがカムイでアイドルになるなんて宣言したからなんだから。
「ムカつくわね!」
クラスメイトの女の子から張り手が飛んでくると思ったのに、なにも飛んでこない。恐る恐る目を開けるとヒカルくんが女の子の腕を掴んでいた。
「この手はそんなことをするためにあるんじゃないだろ」
聞いたこともないヒカルくんの甘い声。いつものヒカルくんを知っていると笑ってしまいそうになる。馬鹿にするわけじゃなくて、かっこいいし、頼もしい男の子だと思ったからだ。ギャップ萌えというやつだろうか。
いじめっ子の女の子も瞳をハートにしている。
その時だ、突然、黄色い声が校庭に響いた。窓から校庭を見下ろすと、大きな黒塗りの車からたくさんの大人の人が出ている。
「あ! タケルくん!」
わたしが手を振ると、タケルくんも手を振ってくれた。タケルくんの顔を見ただけで、朝の嫌な気分が全部吹き飛んじゃった。
「ちょうど学園もののドラマの撮影をしていたからな。俺たち、今日はこの学校で撮影することにしたんだ」
ヒカルくんの言葉に感激する。そうだったんだ! わざわざわたしを守りに来てくれるなんて、HIBIKIのメンバーってみんなお姫様を守る騎士みたいだ。ってあれ? みうちゃんのヒカルくんを見つめる視線、もしかして……。
「ヒカルくんかっこいいよね」
「は、はい! 生のアイドルなんて初めて見ました」
「もしかして、好きになっちゃったの?」
「な、な、な、なんば言うと!?」
あらら、みうちゃん、めちゃくちゃ照れてる。
「好きになったなら、チャレンジだよ!」
「で、でも、住む世界が違いすぎますよ。推しのアイドルができただけで嬉しいです……」
まあ、それが普通の反応だよね。
「でもね、実は誰でも人気アイドルになる方法があったらどうする? チャレンジしてみる?」
「おい、なに話してんだ? まさかあの時のことを話してねーだろーな」
「あはは、いやー、ばれちゃいましたか。もう一つの世界で化け物を倒せばこっちの世界で人気アイドルになれるんでしょ! ならやるしかないじゃない!」
「アホっ! お前、あそこがどれだけ危険な世界だかわかってんのか?」
わたしとヒカルくんが口論していると、みうちゃんが間に入ってきた。
「あたし、歌い手に憧れているんです。DAOさんとか人気歌手いますよね。みんな中学生とか高校生くらいでデビューしてる、あたしもそんな歌手になりたいです! そのためだったら、なんでもします!」
その宣言にヒカルくんは頭を抱えている。
「お前の友達はみんなこんなやつらばっかりなのかよ……」
「うん! いい友達でしょ!」
「はぁ、わかった。とりあえず、放課後まで俺が守ってやるからさっさと授業終わらせろ」
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