その名は、トワイライト
異世界への転送時間、約2分 そんな短い時間の中で、俺は考えていた。 これから行く、『 マホラジアム』とはどんな所なのか。そして何より、どんなハーレムが出来るのか! こっちの世界では、ハーレムするために、きちんとお金を貯めて、真面目に働く…?異世界って事は魔物とかの討伐…?それとも自給自足!? そんな不安を募らせながら、あっという間に2分間が過ぎた。 「着いた…。」 今日は色々な事があったから、もうクタクタだ…。 異世界に来てやることと言えばなんだろうか。 パーティーを組む?ギルドに行く?とりあえず、死なないようにする…? かと言っても、俺の装備?は何も無いし、ここはなんか建物がいっぱいある。 そうだ、ケータイ、ケータイ! 俺には、ケータイがあるじゃないか。位置情報を探して、ギルドに行こう。 ポケットを探ったが、ケータイは入っていなかった。恐らく、引かれた時に粉々になったのだ。代わりに、紙が入っていた。 『 やっとこの紙を見たな。菅野三葉、お前は、異世界に来ていろいろ困るだろうが、神が助言してやろう。まず、その角を右に曲がると、ギルドがあるからそこに行け。あとはなんとかなる!』 …なんとかなるって。訳わかんないな…。 とりあえずギルドというところに行ってみると、パーティーが組めるらしい。 (ギルド こちら)と書いてあるな。明らかに寂れている。 こんなところに役職を持っている人、いや、それ以前に人がいるのだろうか…? ドアを開けてみる。 すると、綺麗な赤髪の女の人が寝ていた。身なりはボロボロだ。襲撃されたのかもしれない。 「おい!あんた起きろ!大丈夫か!誰にやられたんだ!」 だいぶ冷たい。まさか、もう死んでいるかもしれない。 頼む、生きていてくれ! 「んあ……だぁれ…」 生きていたようだ、良かった。 「お嬢さん、大丈夫か?あんたここで倒れていたんだぜ。怪我はないか?」 俺の話を聞き、女の人はキョトンとしてた。 そして、くすくすと笑った。 「あはは…!怪我…?してないしてない!うちは貧乏でねぇ…、床で寝るしかないし、服もこれとあと1着しかないのよ。 それに、お嬢さん…?笑っちゃうねぇ…!俺は男だよ!お兄さん、この辺の人じゃないねぇ、この辺の人はみーんな知ってるよ!まぁ、この辺の人とは言っても、ここに住んでいる人しかいないけどね。」 「それは悪かった…!済まないな。外見で決めつけて。見ての通り、俺はこの辺りの人間じゃないさ。俺は、日本って所から来たんだ。」 彼は、首を傾げた。 「日本」と反復した。 「日本かぁ。噂にゃあ聞いた事あるなぁ。 どうやら、少し昔に、日本から来たっていう人間がいたみたいだけど、みんな聞いたことないって言ってたぜ。」 なるほど、やはりここは異世界。日本という存在は誰も知らないようだ。 「なぁ、おまえ、その服どうにかならねぇの?ボロボロだけど。」 彼は、申し訳なさそうな顔をした。 「わりぃ!見苦しいよな。こんなボロボロのワンピースに、しかも男で、気持ち悪いよな。ごめんな。」 彼は別の意味に取ってしまったようだ。慌てて俺が誤解を解く。 「そういう意味じゃなくて。直さないのかって話。」 「いやー。お金ないって言うか、食費だけで無くなるんだよなー。俺の他に3人住んでるからさ。合計でなんと○○○○○○円!恐ろしいだろ?」 ○○○○○○円、食費にどれだけかけるんだろうか。それとも、この国の物価は高いのだろうか?様々な疑問が浮かぶ。 そんな事を考えている時、ドアが開く音がする。 「お嬢さん、ただいま〜。遅くなってごめんな〜。今日は臨時収入も手に入ったから服も買ってこれたんだ!」 「トワ、ただいま。今日は北の方まで行ってきたよ。少し混んでて、だいぶ時間がかかってな。1ヶ月ぶりだな。」 「ん、買い出しサンキュ。メシ食おーぜ。」 同居人と思わしき2人が帰ってきた。 「其方の人は?」 「俺は……。」 なんと言おう、名前?菅野三葉?フルネームそもそもこの世界に苗字はあるのか? 「俺は、ミツバ!このギルドを見つけて、休息をとらせてもらっていた。」 俺は凄く早口で喋っていたらしく名前しか聞き取れなかったようだ。 「お前の名前はミツバと言うんだな。 俺はレカ。こっちがトワイライトで、みんなからはお嬢さんとかトワちゃんって呼ばれてるんだ。そしてこっちのが、シイラ。 よろしくな。」 なんという事だ!全員が男子とは思えない服装をしている。これは性癖を破壊されそうな人が居そうだな……。 「あぁ、よろしくな。」 レカが喋り始める。 「今回、少し都市の方に服を買いに行ったけど、憲兵に目をつけられてるらしいぜ。俺ら。そろそろここを出た方がいいかもな。」 憲兵に目をつけられている。その言葉に俺は引っかかった。 憲兵。この国には憲兵がいるのか。まるで日本とは大違いだ。治安が悪いのだろうか。 「お前らはどうして、憲兵に追われているのか?」 すると、3人は少し気まずそうな顔をした。 「これからする話。聞いても見逃してくれるか。」
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