三国時代：ブラインドボックスから大喬を引き当てました。

第19話これはあの大喬である

 男と少女のそばには、大喬と諸葛若雪がいた。

  もともと大喬は感情をあまり表に出さない性格だったが、諸葛若雪と話すときだけは時々感情が表に出ることがあった。

  しかし今、大喬はとても楽しそうで、笑顔を浮かべていた。

  もともと彼女は陸翊の美的感覚に非常に合致しており、陸翊は一瞬、大喬がまるで絵から出てきた仙女のように見えた。嫦娥でさえも劣るほどだと感じた。

  一方、諸葛若雪は少し居心地が悪そうにしていた。

  陸翊の帰還により、男、少女、大喬は皆静かになった。

  男は陸翊を一瞥し、眉をひそめた。

  諸葛若雪はそれを見て、急いで陸翊の元に駆け寄り、親しげに「夫君、お帰りなさい！」と呼びかけた。

  陸翊のそばに来ると、諸葛若雪は小さな山のように高くない場所を軽く叩き、息を吐きながら低い声で「夫君、お帰りなさい！今日は大喬と一緒に彼女の親戚を探しに城に行ったら、見つけることができました」と言った。

  「あの少し太った男が大喬の父親で、名前はたしか喬皓と言い、現在は化粧品の商売をしています。」

  「でも、聞いたところによると祖先は太尉を務めたことがあり、あの有名な喬玄だそうです。」

  「彼女たちと話しているとき、とても緊張しました」

  陸翊は諸葛若雪のおしゃべりを聞きながら、少しぼんやりしていた。

  喬皓？

  祖先が太尉だった？しかもあの喬玄？

  さらに、美しい妹もいるとは！

  そして、それが廬江舒県にいるとは！

  歴史の軌跡通りなら、この大喬はまさにあの有名な大喬ではないか！

  陸翊の心は少し動揺した。

  孫策と周瑜もすでに現れている！

  しかも舒県に！

  大小喬も現れた！

  まさか、大喬は歴史の道を歩む運命にあるのか？

  陸翊は密かにため息をついた。

  もし本当にそうなら、仕方がない。

  陸翊は笑顔を作り、男に礼をしながら言った。「陸翊、喬公にお会いできて光栄です。」

  喬皓は軽く頷き、大喬を一瞥してから陸翊に向かって言った。「小女がこの数日間、陸郎の世話になり、感謝しております。」

  「明日、私は必ず厚礼を持参します。」

  「そして今、陸郎、私の娘の通行証を返していただけますか？」

  「陸郎が現在居巣の長を務めていると聞いています。私はあなたの太守とも多少の関係があります。」

  陸翊は少し戸惑いを感じた。

  これは暗に脅迫しているのか？

  最初はもっと丁寧に接するつもりだったが、今となってはそれも考え直さなければならない。

  陸翊は喬皓に対してもう一言も言わず、諸葛若雪に向かって「雪儿、枕の下から大喬の通行証を取ってきてくれ」と言った。

  諸葛若雪は「はい」と返事をして、急いで家の中に入っていった。

  喬皓は軽く鼻を鳴らした。

  やはり礼儀をわきまえているようだ。

  さもなければ、太守に訴えてやる。お前の出世もこれで終わりだ。

  居巣の長ごときが、私の娘にふさわしいわけがない。

  すぐに、諸葛若雪は大喬の通行証を持ってきて、陸翊に手渡した。

  陸翊はそれを受け取り、大喬に差し出しながら言った。「長い間一緒に過ごしたのも何かの縁だ。この通行証を受け取ったら、これでお互いに借りはなしだ。感謝も補償も必要ない。居巣にいた間、君は金銭の管理を手伝ってくれたが、私は君に何も報酬を与えなかった。それでおあいこだ。」

  大喬は通行証を受け取り、少しぼんやりした表情を見せた。

  彼女は通行証を取り戻せることを喜ぶはずだったが、今はそうでもない。

  喬皓は大喬が通行証を取り戻したのを見て、外に向かって「大喬、小喬、帰ろう」と言った。

  小喬は喬皓の後に続いた。

  大喬も一瞥しながら外に出て行った。

  陸翊はそれを見て、諸葛若雪と共に家の中に戻り、「お腹がすいた。ご飯を作ろう」と言った。

  諸葛若雪は低い声で「夫君、大喬をこんなに簡単に放っておいていいの？彼女は方家の大公子が送った女ですよ」と言った。

  陸翊は「気にするな。以前からなぜ彼女が私に近づかないのか不思議だったが、今やっと理解できた。彼女は私に興味がない。そうであれば、無理に引き止める必要はない」と答えた。

  陸翊は諸葛若雪の頬を軽くつまみ、「君がいれば十分だ」と言った。

  諸葛若雪は大きく頷いた。

  大喬は喬皓と小喬に従って馬車の方へ向かった。

  喬皓と小喬は馬車に乗り込んだ。

  大喬が車輌に足を掛けた瞬間、彼女は背後の家を振り返った。

  陸翊と諸葛若雪はすでに家の中に入っていた！

  大喬の心には説明し難い哀しみが広がった。

  喬皓は大喬がまだ車内に入っていないのを見て、「大喬！」と促した。

  大喬は車の帘を開けて中に入った。

  御者はそれを見て、馬車をゆっくりと動かし始めた。

  大喬は小喬の隣に跪いて座った。

  小喬は彼女の手を握り、「姉さん、自由の身になったのに、どうして嬉しくないの？」と笑顔で言った。

  「今回別れても、無事だったんだから喜ぶべきだよ。」

  喬皓も髭を撫でながら笑って言った。「明日、私は天地と祖先に感謝を捧げるつもりだ。大喬、お前を守ってくれたことに感謝する。」

  小喬は「姉さん、私たちがここに来たばかりで、まだ家を掃除し終えてないんだ！それに周りを見て回る時間もなかったわ！聞いた話だと、周家はとても豪華で、家が何十棟もあり、出入りするのはいつも大勢で、とても羨ましいわ！明日、姉さん、私を連れて周りを見て回ろうよ？聞いた話だと、周家には若い公子がいて、私たちより一、二歳年上だそうで、とても立派で美しいんだって。明日、一緒に見に行こうよ？もしかしたら、その公子と縁が結ばれるかもしれないよ！」

  喬皓も言った。「それは一見の価値があるな！お前たちは国色天香とまでは言えないが、それでも知識と礼儀を備えている。周家と縁が結ばれるなら、それは大きな喜びだ。何しろ、周家は二世三公の大豪門だからな。」

  大喬は無理に笑って言った。「私は明日は行かないよ、やるべきことがあるから。」

  小喬は大喬の腕を揺さぶりながら言った。「姉さん！縁談より大事なことがあるの？」

  喬皓は顔を曇らせて大喬に言った。「あの陸翊に何か脅されているのか？」

  大喬は急いで手を振って「いいえ、絶対に違います！」と言った。

  「お父さん、誤解しないでください！」

  「陸翊は見た目は普通で、家柄も良くないけれど、とても正直な人です。」

  「半年間彼のもとにいたけれど、彼は私に指一本触れませんでした。」

  「それどころか、私をとても尊重してくれました！」

  「私が字を読めることや算術ができることを知ると、彼は私を絶えず褒めて、金銭の管理を任せてくれました。」

  「さらに、彼は私を連れて下邳の名門の魯家を訪ねました。」

  「今回も、彼は通行証を返してくれたし、何の補償も求めませんでした。」

  「彼は良い人で、私を脅すことは絶対にありません。」

  喬皓は眉をひそめて「本当に彼に手を触れられていないのか？」と尋ねた。

  大喬は顔を赤らめて「お父さん、どうして私を信じてくれないの？私が嘘をついたことがありますか？信じられないなら、もっと彼に接してみてください。彼があなたが思うような小人でないことがわかるでしょう」と言った。

  小喬は笑いながら「姉さん、彼に恋してるんじゃないの？」と言った。

  大喬はすぐに顔を曇らせて「そんなことないわ！あなたは私を浅はかに見ているのよ！私はただ、彼を正当に評価しているだけ。明日は本当に行かないわ。」

  「私は雪儿と一緒に、鶏や鴨、犬の肉を焼く約束をしたの。」

  「今、私がこんなふうに出て行ったら、その仕事は雪儿一人でやらなければならなくなる。」

  「雪儿は私にとても良くしてくれたから、約束を破るわけにはいかない！」

  「何があっても、彼女と一緒に鶏や鴨、犬の肉を焼き上げるべきだ！」

  喬皓が見つめると、大喬は強く頷きながら言った。「お父さん、これは本当です。あなたが教えてくれた通り、約束を破るわけにはいきません！」