第31話サバイバル1日目2

すると、周りの寝ているトマトを小突き、目覚めさせ、ニタニタとこちらを見てくる。




(ちょっ!?)




20体ほどに膨れ上がった。幸い、トマトに起こされたトマトはトマトを起こさないようだ。


すると、トマトはこちらに向かって飛んでくる。


それの進行方向にシールドを貼るとトマトはグチャッと潰れ、倒れた。トマトは元居た場所に硬直した状態でスポーンしている。




(あれ?弱い...?)




他のトマトも順にシールドにぶつかり、倒れていった。




(あっ、早く回収しないと)




30秒の硬直に入っているトマトを回収しようと近づくと、また近くの別のトマトが起動し、周りのトマトを起こす。




(あ、これ早く回収して逃げないと凄いことになるやつだ)




全身をシールドで覆い、トマトが当たろうが構わず近づき、硬直している個体を数個とり、ブドウ畑へと全力で戻る。


腕輪を見るとトマトに〇が付いて矢印が2本になっており、無事に達成できたことが分かる。




(ふう、何とかなった。)




シールドはトマトでべちゃべちゃになっており、周りが良く見えない状態になっているため、自身の身体に着かないよう離してからシールドを解除する。


すると、怒りの顔を浮かべたブドウが大量にこちらを睨んでいた。




(あ、水気厳禁・・・トマトの水分もダメですか・・・)




また、土でシェルターを作り、やり過ごそうかと思ったが、近くにトマトの残骸がまき散らされているため、いつまでたっても刺激し続けることに気づき、次のほうれん草の場所へと一目散に逃走する。




(って、一部強いやつ混じってるし、火力高いし、しつこいんだけどぉぉぉぉ)




張っているシールドがブドウの炎を纏った突進の飽和攻撃に加え、上位体の吐く炎によってたまに壊され、ウィリィンの身を焦がす。




(あっちぃいい、水で冷やせないし、数は多いし、あーもうめんどくさい。


水使わなきゃいいんだよなぁ?)




やけどした場所を癒しの炎で包みながら、石のつぶてを空中に大量に展開する。




(この数は回収できないし、後々自分の首を絞めそうだけど・・・


一回ならセーフだと信じるっ)


周りにいるブドウに向けて発射し、一網打尽にする。硬直して、静かになったところを急いで逃走する。




そうこうしているうちにほうれん草畑が見えてきた。




ほうれん草の群生地を確認すると、




(思った以上にお互いのスペースがちゃんとあるな...


これなら集団で襲われることはなさそうだ)




ほうれん草同士はしっかりと離れており、タイマンで戦えることが予測出来る。




(よっしゃ戦うか)




ほうれん草のテリトリー内に入る。


目覚めたほうれん草はブスッとした顔をしながら、こちらをみてくる。




するとほうれん草の周りに砂塵が集まり始め、刃の形を形成し始める。




(思った以上に強そう?


水使いたいけど、周りを刺激するかもしれないしなぁ)




流石に同じ土であれば刺激することにはならないだろうという判断で敵の攻撃がこちらに来る前に石の礫を生み出し、ほうれん草に向かって連続射出する。


するとほうれん草は展開していた刃を石に対して振るい、細切れにする。


そして今度はこちらの番だと言わんばかりにこちらに刃を射出してくる。




(うおっ!?石があんなんになる攻撃喰らえるかよ)




シールドや石のシェルターでは突破されそうだったため、回避に専念し、刃を避ける。




(思った以上に早くはないな...)




少し経つと慣れてきて、余裕を持ってかわすことが出来るようになってきたので、礫を乱射し、ダメージを与えようとするが、全て砂塵で防がれる。


その後、刺激覚悟で他の魔法を使うか決めかねていると




(あれ、刃の数が減ってる?)




ほうれん草の周りを囲う砂塵は相変わらずだが、こちらに向かってくる刃が急激に減り、最終的に沈黙した。




(ん?魔力切れか?それとも大技でも来る?)




この迷いは悪手であった。


その後直ぐに砂塵が解除されると、そこにいるのは先程より大きさ、艶の良くなったほうれん草であった。




(ええ!?何か強くなってるぅぅ!?


こいつ、砂塵の中で引き篭もりながらやられて、沈黙時間をやり過ごした!?


そんなんあり?)




ほうれん草は賢く、魔力が少なくなると自ら死を選び、砂塵の中で隠れながら再生、沈黙時間をやり過ごす。


ウィリィンが攻めあぐねている間にほうれん草は強くなった上で全快してしまったのだ。


ほうれん草は攻撃を再会し始め、先程より早く、鋭い刃がウィリィンを襲う。




(このままだとジリ貧...しょうがない、火を使うか)




ウィリィンは新たな魔法を解禁する。


火を手に生み出すが、周りのほうれん草に変化はない。




(よし、当たりぃ)




火炎放射の要領でほうれん草の周りの土を炙っていく。


炎の直撃こそ、砂塵で防ぐことができるものの、圧倒的な熱量自体は砂塵や、ほうれん草付近の空気に蓄積されていく。


暑さでほうれん草にダメージを与える。


すると、刃での攻撃が止み、ほうれん草を纏う砂塵だけになった。


ただ大量の魔力が込められており、強靭な防壁となっている。




(死ぬ間際に魔力を込めて自身の身を守るのはさっきと一緒。


これは死ぬ間際に設定されたオートの動きっ


刃はマニュアル操作、沈黙中は使えない。


ということは、追加で行動することはできない。


つまり、砂塵がない地面の部分は守れないだろ?)




ウィリィンは地面に魔力を行使し、穴を開け、砂塵の内側へと侵入し、ほうれん草を掴み取った。

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