第129話 おっさん、いじめじゃない
本当にこの知事には何の恨みもないので、いじめるつもりも困らせるつもりもないんだよな。
まあ組織の
若いと言っても俺(45歳)と大して変わらないと思うが。
まあ、
「うちの秘書が言ってるのは仮定も仮定の話だ。皮算用の域を出ないし、なんなら大赤字を回避できていた可能性もなくはないからな」
「店舗の準備以外はパネルの資材を運んでいるだけなので大赤字に等なりようがありませんし、皮算用ではなく実績に基づく分析結果です」
だからいいってのに。
なんで今日そんな強火なの?
(怒らない社長の代わりに怒っている社長大好きな秘書役なので)
・・・好きにすればいいけどさ。
「まあそれにしたって駆け出しの
県の予算とかと比べるなら文字通り桁が違うだろ。
あとウチもそこそこ事態は把握しているんだが、それを合わせても県知事様がわざわざ頭を下げてくれるほどのことだとは思っていないんだ」
「うちで把握しているのはうちが申請を出した部の部長と主に職員2名が関与し、悪ふざけやストレス発散程度の動機で中小やベンチャーの申請を滞らせていたことです。
それらの個人情報や、関与の目撃情報や証言、申請者からの催促などを議題に挙げた際の議事録など、物理的な資料などの証拠も合わせて掴んでいます。
情報提供者は明かせませんが」
まさかハッキングで得た情報とは言えないからな。
「加えて、庁内でうわさが広まりきっていることや、役所の対応が原因でうちのパネルを購入できなくなっていることに対する苦情が増加していることも把握しています。
知事がここに来ることになった経緯も大体は」
「そこまで言わんでいいって。
本気で怒ってるみたいじゃん。
知事も気にしないでくれ。
情報集めたのは道楽みたいなもんだ。
まあ遊び半分で申請通してなかったのには思うところもあるっちゃあるんだが、今更だしな」
『思うところもある』の
面白いがもうやめよう。ほんとにいじめたい訳じゃないからな。
「でまあ、ウチが把握している状況というか、そこまでの経緯があったにしろやはり県知事様が頭を下げるほどのことじゃあないって認識なんだよ」
つまり『謝りに来ただけじゃないだろ?』ってことなんだが。
ここで知事がひときわ真剣な顔つきになる。
まあそうだよな。
謝るだけで結果はどうでもいいならそれこそその部長でも送りつけりゃいいんだから。
「はい。
こちらの不手際で申請を取り下げていただいて今更にはなるんですが、ぜひ我が県にも事業所を置いていただけないかとのお願いに参りました」
「なるほど?」
まあウチのメディア露出や知名度アップに伴って世間の風当たりが強くなってきているんだろうからな。
まずはウチが進出してこなきゃずっと風当たりは強いままだろう。
「苦情が増えているという状況もあるんですが、それ以上に御社の事業内容やソーラーパネルの性能資料や実績を拝見して、我が県に御社の事業所が存在しないことは、県と県民の未来にとって損失でしかないと判断いたしました」
すげー褒めるじゃん。
何も出ないけどな。
「過分な評価だな。
だがそれこそ原因となった部長でも派遣して謝罪とお願いをさせれば済む話だろう」
思ってもいない最悪な選択肢を挙げてみる。
「何度か庁内で事情確認のため担当の部長を呼び出して話を聴きましたが、アレをこちらに派遣するという判断はできませんでした。
こじらせるか悪化させる未来しか見えませんでしたので」
アレて。
まあその判断は合っているだろう。
ここまで出向いてなお偉そうに振る舞った挙げ句キレ散らかして帰りそうだ。
「まあもともと事業所置くつもりだったしな。
許可くれるって言うなら全然―「駄目です!」」
と、
「謝罪だけでは足りません。
ウチが被った被害を補填するかそれに値する価値を提示いただけなければ容認できません」
ここにきて大胆な要求をする
「んー、まあ確かにな。
『ごめんなさい』、『いいよ』じゃあ、ウチが商機を逃した分や、コケにされた分、まるまる損していることになるか・・・
ってことだけどなんかある?知事さん」
三文芝居に付き合わせた感じになっちゃったが、その辺手ぶらで来てるわけではないだろう。
つってもあからさまな利益供与は無理だろうな。
札束の入ったアタッシュケース出してきて『お主も悪よのう』なんかは時代錯誤すぎる。
まず現金ってのが現実的じゃないし、かといってそれ以外の手段は必ず銀行に
もうそういう時代じゃないのだ。
それでいて県という一大組織の長が提示できる利益となると・・・
さて何が出てくるやら。
いじめ?
正当な要求ってやつだよ。
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