26、結婚式(☆)
婚約発表が行われ、国中が大騒ぎになる。知る人は双子同士の子供同士は兄妹ということを知っていたので、プリンツェッスィンたちの場合は従兄妹になることはフリーデン王国の医学界に衝撃を走らせた。そしてその事実は全国民に知れ渡ることとなる。
最初は驚いたが、禁断の愛を貫き勝ち得た二人の婚約発表は国民の胸を熱くさせた。
ヴァールがこの国の結婚適齢期を過ぎても一向に婚約者を決めなかったのはこの為かと彼の一途さを褒め称え、プリンツェッスィンも同じく彼に操を立てていたことに一同胸を高鳴らせ見悶える。
婚約発表から一週間後の結婚式となるとその忙しさに城の者をはじめ関係者は嫌がるはずなのに全くその毛はなく、寧ろ二人の結婚式に関われると喜んでその忙しい日々を過ごすこととなった。
「ツェスィー、おめでとう」
「おめでとう! 本当に良かったわ!」
結婚式の準備で目が回るプリンツェッスィンの息抜きにとコヘンとシュティッケライが城に呼ばれ、彼女たちは親友のお姫様にお祝いの言葉をかける。
「ありがとう。コヘンとシュイが励ましてくれたお陰よ。でも私もコヘンたちみたいに苗字が変わればよかったんだけど、形式上兄様が婿養子に入るから……」
一国のプリンセスはプリンツェッスィン・アルメヒティヒになれなかったのだけ残念に思った。
「ふふ、そうね。私はコヘン・シュヴェールトになったし」
「私はシュティッケライ・シュトゥーディウムになったからね〜」
二人は卒業後すぐ想い人と結婚出来たのだ。
コヘンは両親にシューヴェルト家に嫁ぐとどれだけナーハティッシュ家に有益になるか伝え、またレッヒェルンがどれだけ自分を愛してるかを語った。元々娘想いの心優しい両親は快く承諾する。兄も妹の結婚を心から祝福した。
シュティッケライはシュトゥーディウム家に嫁ぎたいと両親に伝えたところ、トゥーフ家を誰に継がせるんだと反対される。しかしそんな事で折れるシュティッケライとビブリオテークではない。必ず二人以上子供を産むという条件を提示し、両親たちに承諾しなければ社会的に抹殺すると脅したのだ。また自分たちが結婚したら座を退いてもらうことも約束させた。
「シュティッケライ様はやり手ですよね。顔はお可愛らしいのに」
「あらありがと。シャイネンも可愛いわよ?」
「シュティッケライ様程では」
ジョークを交わすシャイネンとシュティッケライを見てプリンツェッスィンとコヘンは笑い出す。
「で、私たち三人はいいとして、シャイネンはどうなの?」
プリンツェッスィンに可愛い笑顔を向けられ、シャイネンは観念したように微笑んだ。
「順調に行けばあと八ヶ月後くらいには産まれると思います」
シャイネンの発言を聞いた三人は持っていたカップを落とし割ってしまう。
「え?! 産まれる?!」
「シャイネンに先越された〜!」
「シャイネン! どうしましょう! け、結婚式してないわ! すぐ兄様に相談しないと!」
シャイネンは慌てる三人を落ち着かせながら、割れたカップを片付けた。
「姫様、すみません。姫様が倒れられて、婚約が決まり、結婚式が終わって落ち着いたら言おうと思ってたんです。けして内緒にしてた訳では無いんです」
少し申し訳なさそうにシャイネンは主人に謝罪する。
「グレンは知ってるのよね?!」
「……あ、忘れてました」
「「「シャイネン〜!!」」」
仕事のこと以外は意外と抜けてることもあるシャイネンを促し、夫になるグレンツェンをその場に呼び寄せた。
「何? 今坊の衣装決めるのに忙しいんだけど」
いきなり呼び出され、不機嫌そうな顔をするグレンツェンに、シャイネンはいつものように表情筋を動かさず、告げる。
「赤ちゃんが出来たわ。あ、もう若のところに行っていいから。これ新郎用の新しいカタログよ。持っていけば?」
「あー赤ちゃんね、はいはい。カタログサンキューな…………ってえええ?!?!」
子供が出来たことを業務連絡のように伝えられ、グレンツェンは聴き逃しそうになった。
「あ、あか?」
「赤ちゃんって知らない?」
「いやいやいや! そんくらい知ってるわ!! ってかお前何やってんだよ!」
何故注意されるか意味わからないとシャイネンは不機嫌になりそうになるが、そうなる前に愛しい人にお姫様抱っこされる。
「こんなところで仕事してんじゃねーよ! お腹に子供いんだろ?! ってか俺の子だよな?! ってかいつ出来たんだよ?! ぜってー今分かったんじゃないだろ!」
「一度気に質問しすぎよ……。仕事しちゃ悪い? いるけど何か? アンタの子以外ないわよ。出来たのは一か月少し前くらいかしら? そして降ろしてくれる?」
シャイネンは呆れながら全ての質問に答えた。
「お前は子供が産まれるまで仕事すんな!」
「は?」
将来の夫の発言にシャイネンは少しイラッとする。
「子供に何かあったら大変だろ! それに母体だって無事じゃ済まないかもしれねぇし!」
「……アンタ馬鹿じゃない? 別に無理しなきゃ大丈夫よ。まあ、今も少しは悪阻あるけど軽い方らしいし」
だが夫となる人に本気で心配され悪い気はしない。シャイネンは困ったように笑いながら口を開いた。
「ほら、降ろして? 仕事もアンタがそんなに言うなら姫様に減らしてもらうから」
「本当だな?!」
「はいはい、本当よ」
プリンツェッスィンたち三人はシャイネンたちのやり取りを見て微笑む。
「シャイネンってグレンツェン先輩を尻に引くと思ってたけど、意外とそうでもないみたいね」
「そうかしら? ああいう風にして手のひらの上で転がしてる気がするけど。見習わなきゃね」
「ふふ、そうね。私たちもシャイネンのように旦那様を手のひらの上で転がせるようにならなきゃね」
意外と献身的だと驚くコヘンにシュティッケライが微笑しながら面白そうに突っ込んだ。そしてプリンツェッスィンも幼い頃からの自分の従者が幸せそうにしていて、自分の事のように喜ぶのだった。
◇
一週間があっという間に経ち、婚姻の日としてめでたい桜の月花の日が訪れ、プリンツェッスィンたちは国民に祝福されながら結婚式をあげる。
城のバルコニーから二人は国民たちに手を振り、空からはゲニーが魔法で色とりどりの花を散らしていた。
プリンツェッスィンは幼い姿で式をあげることにする。ヴァールにどちらがいいか聞いたところ、いつものプリンツェッスィンがいいとリクエストがあったのだ。しかしその話し合いの後、ゲニーに耳打ちをされる。スカーレットの瞳を輝かせながらその父娘はニヤリと笑った。
ヴァールのところへ白いウエディングドレスを着たプリンツェッスィンがゲニーに連れられ歩いていく。彼女のパールとレースがあしらわれたオフショルダーのプリンセスラインのウエディングドレスは、何層にもよるチュールスカートになっており、プリンツェッスィンの可憐さが際立つデザインだった。そしてゲニーはプリンツェッスィンをヴァールに引き渡す。
「一生涯をかけて幸せにすることを誓います」
「私もヴァールお兄様を幸せにすることを誓います」
「誓いのキスを」
誓いの言葉を言ったあと神官にそう言われ、二人はゆっくりと顔を近づけ、誓いのキスをした。唇が一つに溶け合い、離れるのを惜しむように離す。
そしてヴァールはプリンツェッスィンを片手で抱き上げ、彼女の手に自分の手を添えた。
若葉のようなリーフグリーンの宝石は燃えるようなスカーレットの宝石を優しい眼差しで見つめる。
「ツェスィー、君は僕の光だ。全てが愛おしいよ。愛してる、僕の永遠の小さなお姫様」
ヴァールの言葉が終わり、二人はまた唇を重ねた。何度もキスをし、公のところでなのに段々と深くなる。その扇情的なキスは国民を昂らせ、親たちは子供には見せられないと子の目を塞ぐ始末であった。
「んんっ!」
ゲニーの咳払いがプリンツェッスィンとヴァールを二人のだけの世界から引き戻す。
「お前ら、多分コレ一生語り継がれるぞ……」
やれやれと呆れながらゲニーは二人に注意し、最後には困ったように笑った。
「兄様、目を三秒瞑っていてくれますか?」
「ん? いいけど?」
そしてプリンツェッスィンは抱き上げられながらヴァールに瞳を閉ざすことを促す。
「一、二、三!」
プリンツェッスィンの掛け声が終わると彼女は光り輝き、大人の姿になった。オフショルダーの胸元からはたゆんと大きなふわふわの双丘が除き、くびれから広がるスカートは色気を醸し出す。
大人の姿は幼い姿よりは重量があるが、平均女性よりスラリとした体を持っているプリンツェッスィンは大きくなっても、鍛えてるヴァールにとっては羽のように軽いので急に姿を変えても全く問題はない。
この国の未来の正妃がいきなり光だし姿を変え、見ていた国民は大騒ぎになる。
「フリーデン王国の民よ! プリンツェッスィンは聖女の力が覚醒した! この姿が誠の彼女の姿だ!」
ゲニーのよく通る声がその場に響き渡った。
彼のまさかの発言に国民は気持ちが昂る。その場から歓声が響き渡り、プリンツェッスィン王女殿下万歳とコールがかかった。
「ふふ、兄様。こちらの私はどうですか?」
「うん。すっごくドキドキする」
「小さい私より?」
「うんん。どっちもドキドキするよ」
「今夜はどちらの
「ん〜! どっちも!」
ヴァールは照れながら笑う。
「ヴァールお兄様は無欲なのが取り柄なのに、私のことになると貪欲になりますね」
「うん。君のことになると僕は世界一貪欲な男になるんだ。だからずっと側にいて見張っていてね」
「分かりました。ずーっとお側にいますね」
二人はお互いを慈しむように、見つめ合い、破顔した。
◇
その日すること全てが終わり、二人は新しく設けた自分たちの部屋の寝室へ入る。
二人はベットに腰を下ろし、ヴァールはプリンツェッスィンの髪を撫で、唇にキスを落とした。
「まさかシャイネンに先越されるとは思わなかったです」
「ふふ、そうだね。僕たちもグレンたちに続かなきゃね」
「そうですね。建国記念日まであと三週間の我慢です」
ヴァールは少し照れながら口を開く。
「ツェスィー……」
「何ですか?」
「お父様がね、本番さえしなければいいって」
ふにゃりと嬉しそうに照れ笑いをし、プリンツェッスィンに致したいという旨を伝えた。
「そうなのですか?!」
「だから、ダメ?」
プリンツェッスィンにとって可愛いと思う表情でヴァールにお強請りをされる。
「私がこのようなことで断った事ありますか?」
「ないけど、一応ね」
ヴァールはふふふと笑いながら優しい瞳でプリンツェッスィンを見つめた。
「兄様は優しいですけど、たまには強引になって欲しいです」
「強引な僕の方が好きならそうするよ?」
ヴァールの問に対して、プリンツェッスィンはフリフリと首を横に振る。
「わがまま言ってごめんなさい。私は兄様なら優しくても強引でも好きなんです。兄様の好きにしてください」
そして愛しい人の手を取り、自分の片方の頬に添えた。
「はぁ〜。ツェスィーは何でそんなに可愛いの? ちょっとは欠点あってもいいのに」
ヴァールはプリンツェッスィンに抱きつき、肩に顔を埋めながら悶える。
「……普通に欠点あると思いますが」
プリンツェッスィンは困ったように笑った。
「一つも思いつかない。ツェスィーの全てが愛おしいよ」
「ふふ、兄様。愛おしいと欠点がないとは同意語ではないですよ」
「だって欠点ですら可愛いから、それは僕にとっては欠点じゃないよ」
「……それは分からなくもないです。私も兄様の欠点が愛おしいですから。寧ろ欠点の方が可愛らしくて好きかもしれません」
二人は同時に笑い合う。そして真っ直ぐお互いだけを瞳に映した。
「ツェスィー」
「ヴァールお兄様」
そっと触れ合うキスをし、はむはむと相手の唇を自分の唇で噛むようにじゃれ合う。ヴァールはまた唇を合わせるとにゅるりとプリンツェッスィンの口内を自分のそれで蹂躙していった。彼女も愛する人に応えていくように愛を返していく。唾液はプリンツェッスィンの喉元を伝い、その二人の透明な雫をヴァールは愛おしそうに舐め上げた。
「今日は最後まで出来ないけど……三週間後はツェスィーの全てを暴くからね。覚悟していて?」
「兄様のエッチ……」
「僕はエッチだよ。でもそうさせたのは他でもないツェスィーだからね?」
「はい。責任は取らせていただきますね」
プリンツェッスィンはふわりと花のような笑顔をヴァールに向ける。
ヴァールはプリンツェッスィンの唇、首筋、鎖骨とキスを降らしていった。
赤く付けられた花は目の前のお姫様は自分のものだと、彼の独占欲を表す。
服を脱がされ生まれたままの姿になったプリンツェッスィンは恥ずかしそうに両手は胸を隠し、太ももを擦り寄せた。
「ツェスィー、見せて?」
「兄様、恥ずかしいです……せめて明かりを消してください」
部屋は明るいままでプリンツェッスィンは薄暗くして欲しいとお願いをする。
「ふふ、ダメだよ。ツェスィーの可愛いところが見えなくなっちゃうからね」
「兄様の意地悪……」
「ごめんね? でもツェスィーってさ、僕に意地悪されるの本当は好きでしょ?」
「え!」
「でも大丈夫だよ。僕はツェスィーをどろどろに甘やかすのが一番好きだから。でも……ツェスィーが望むならそうするよ?」
「……兄様の意地悪。でも……でも兄様のそんなところも……そんなところが、好きです……」
「僕もツェスィーの、
ヴァールはプリンツェッスィンの可愛らしい双丘をふにふにと弄った。
「やぁ! あああん! にい、さまぁ!」
彼女はその小ぶりのものを弄られ、可愛く喘ぎながらイってしまう。
胸だけでビクンビクンと打ち上げられた魚のようにイってしまうプリンツェッスィンを見て、ヴァールは満足そうに微笑んだ。
「ツェスィー、可愛い」
そして胸からつーっと下へ這うように秘所に手を添える。そこは既にとろとろに蕩けていて、蜜が溢れかえっていた。
ヴァールはくちゅりと厭らしい音を出しながら指をプリンツェッスィンの泥濘に抽挿していく。可愛らしい芽も同時に犯しながらちゅこちゅこ淫猥な水音を作り出した。
「ああ! あん! ひゃう!」
「ツェスィー、足閉じないの。ちゃんと開いて」
「ふぇ……。兄様のエッチ……」
そしてとろとろに蕩けた泥濘に顔を埋め、ぢゅるぢゅると甘い蜜を啜っていく。彼の舌がプリンツェッスィンの薄桃色の果肉の中に入っていき、彼女は快感で体を痙攣させた。
「やぁ……。んん、あ、あああ――!!」
果実を犯しながら、秘芽をきゅっと指の腹で嬲ったとき、プリンツェッスィンは今日一番の絶頂を迎える。
ヴァールは果てたあとはひはひと浅い息をするプリンツェッスィンを愛おしそうに見つめた。
ヴァールのその表情に気付いたプリンツェッスィンは申し訳なさそうな顔をして、口を開く。
「兄様は気持ち良くないですよね。私ばかりすみません……」
「ツェスィー、僕はツェスィーが感じてる姿を見るだけで、気持ちいいんだよ。確かに君と中で共に果てられたら最高だけど、僕はこれだけでもイけるから。ほら、ね?」
ヴァールは照れたように言い、プリンツェッスィンはいつの間にか自分の腹の上に白濁とした液体が付いてるのに気付いた。
そして目の前の美丈夫を胸が焦がれるほど愛おしく感じる。
「兄様、好きです……。私はやっぱり兄様以外好きになれないです」
「僕もツェスィー以外好きになれないよ」
二人は見つめ合い、優しく慈しむような口付けを交わした。
プリンツェッスィンの瞳には大粒の雫が溜まり、今にも零れ落ちそうだ。そしてヴァールも気付かれないよう、溢れるものが流れ落ちないよう我慢する。
そして二人が破顔したとき、露が優しく葉を伝うようにその雫が流れるのだった。
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