第34話 白頭鷲姫と白頭鷲王は式典に臨む01

あの日以来、自分への自身をゆっくり取り戻した私は、ついに友好記念式典の日がやってきた。


帝国は母国のホーク王国を含めて、5つの属国を支配している。そのすべての王族が訪れて帝国との友好と同盟を強固なものにするのがこの友好記念式典になる。


今までは、王国の国王と王妃であるお父様とお母様だけが参加するイベントのため私は参加したことがなかった。


それについては、流石に国外にまで私をあのみじめな恰好で連れ出すことで要らぬ噂が他国で立つことを恐れてのことだったのだろう。


「ルーナ」


声を掛けられて隣を見るといつも悔しいほど美しいユーリがさらに、皇帝としての威厳のある恰好をしているためにキラキラして見えた。


いや、実際に私とユーリは属国のひとつ、インコ連合共和国より贈呈された色とりどりの宝石を星のように散らしたドレスと礼装によりリアルでキラキラしているのである。


本来ならこのような派手な装いはと思うのだが、この宝石は加工した際に出た欠片のため大変エコだったりする。


「この後、属国の王族たちにルーナが『鷲の目』を持ち、帝国の皇后となることを宣言する。宣言後に俺様がエスコートして美しいルーナに跪かせようと思っている」


すごく良い笑顔でそう言ったユーリに私は小さく微笑んだ。少し前ならそんなことはしたくなかった。


私は醜女で人前に出たくないと思っていたから。けれど今の私はもうみにくいアヒル姫ではない。


「ええ、わかったわ。……ところでユーリ、エドワルダのことなのだけど……」


「……ああ、現段階では消息不明だ」


エドワードお兄様が残したエドワルダが実は姿を消していた。姿を消す前に一度、


『……ああ、なんてことだ。ふたりとも友好記念式典には気を付けてほしい、悪意があるものが邪魔をしようとして……っ、すまない、エドワードが危ない!!行かねば!!』


と言って飛んで行ったっきり未だに戻ってきていない。


その様子からこのまま式典を行って問題ないかという意見もあったのだけれど、ユーリに何か秘策があるようで、そのまま予定通り友好記念式典が行われることになったのだった。


私は、自身の出番が来るまで控えの間で待っていることになっていた。


ユーリが気にして揃えた精鋭ばかりの護衛騎士に守られながら待っていた時、部屋の外から爆発音のような音が響いた。


「今の音は……??」


『ルーナ!!出てはだめ!!』

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