第20話 みにくいアヒル姫はユーリの正体を知る
「それについては、俺様から話そう。テディ、いやエドワードは俺様の学友であり、親友だ」
「エドワードお兄様とユリウス皇帝陛下が親友??」
帝国にある教育機関に通っていたのだからあり得る話ではあるが、宗主国の皇族と属国の王太子が共に学ぶ機会があったのが不思議だった。
そこから、エドワードお兄様が帝国の学園でユリウス皇帝陛下と出会い、友人になったこと。その際に沢山妹の自慢をしたが、なぜかユリウス皇帝陛下が最初から私を知っていてエドワードお兄様が私の兄だとわかっていて声を掛けてらしいこと、学園に居た当時は皇族であることをなぜか隠していたことなどを聞くことができた。
おおよその知りたいことを理解した時、やっと落ち着いたエドワードお兄様がいつもの穏やかな様子でとんでもないことを口にした。
「……ユリウスは少し特殊だからな。皇族でありながら聖獣に育てられたなど類をみないだろう」
エドワードお兄様の言葉に私は首を傾げる。ユリウス皇帝陛下がどのように育ったかということは全く知らなかったが、エドワードお兄様の言葉通りならばユリウス皇帝陛下はユリアに育てられたことになる。
「ユリウス皇帝陛下とユーリは人間と白頭鷲だけど義理の兄弟ということですか??」
だんだん意味が分からなくなり混乱する私に、決意したようにユリウス皇帝陛下が答えた。
「違う。ユーリという白頭鷲は俺様だ、つまり、その……俺様は人間であり白頭鷲でもある」
ユリウス皇帝陛下、いえユーリの言葉に私は完全に硬直した。つまり、ユリウス皇帝陛下=ユーリとなる。つまりそれは、私が白頭鷲だと思ってしたハグやキスやこの間私の胸に顔を埋めたりしていたのも全てがユリウス皇帝陛下としていたことになるということである。
「ええええええええ、嘘、嘘です!!!!だとしたら、私は今までユリウス皇帝陛下と、いえユーリとキスしたりハグしたりあまつさえこの間は胸の間に頭を……」
私の言葉を聞いた瞬間、落ち着いていたエドワードお兄様の様子が再び恐ろしいものへと変わった。
「ユリウス、コロス」
その怒りはすさまじく、人間の言葉を忘れた化け物ののような真っ赤なオーラを放ちながらユーリに襲いかかった。しかし、ユーリも負けじと全裸に翼を生やして空を飛んだ。
「テディ、あれは事故だ。ルーナ、説明して……」
縋るように私を見たユリウス皇帝陛下に、私は笑顔を浮かべた。その笑顔は多分、とても冷たいものだったと思います。
「ユリウス皇帝陛下、いいえ、ユーリ。どうしてすぐに話してくれなかったのですか??」
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