青毛の詩~詩集壱~

瀬下 青毛並

南から吹きし夢風


 向かえば夏

退くことのできない 時の生者

逃げ出せばそれっきり

湿り気の帯びた日々


せめて

前だけを望み 歩めればいいのだけれど

時折降る雨に 泣けてくる


せめて

現実にも似た幻でも見れたなら

まだ頑張れそうな気にさせるのに


頬にほんのりぬるく 薫る風

遠くを望めば

積み重ねてきた 過去からの声も

未来への縋り(すがり)も

夢をさそうように吹いた南風


その中で目を閉じれば

少しだけ勇気に変わりそうな南風

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