ドラゴン ミディアリー ～再生の雨音は滅びと欠落の後で～

プロローグ

―――衝撃音。

　私の体は、冷たいアスファルトに投げ出される。

　ぐちゃりと潰された体。

　黒いアスファルトが赤い閃光で染まる。

　後悔はない。

　大切を守れたから。

　……これで終わればよかった。

　その赤黒い塊はもう原型を保っていない。

　それでも、私は再生する。

　やめて。

　後悔なんてなかったのに。

　どうしてそんなことをいうの？

　いやだ、離れないで！

　……だからだろうか。

　こんなことを思ってしまったから。

　私が傷ついてしまったから。

　私は大切を二つも失った。

　なんで。

　なんで、消えてしまったの？

「分かっているんでしょ？」

　頭に自分の声が響く。

　私が傷ついたから、大切を失った。

　なら、もう自分を忘れてしまおう。

　傷つかない私になろう。

　大切だったあなたのいうことも聞くよ。

　今より、ずっと。

　そうしたら……

　そうしたら戻ってきてくれるかな？

　わからないや。

―――『化け物』になってしまった私には。