第20話 空へ飛んで散る火花

 セレディア王国の女王リアは民を南のダスマルスの領内に逃していた。


 レイノルズ王国の白狼騎士団と黒狼騎士団は破壊魔法を放つため城壁に配置されていて、ラーナドゥール王国の金十字騎士団と白光騎士団は城の外で見つからぬように左右へと展開して城の中へと引きつけられた敵兵の大半が中に入ったときに挟撃出来るようにしていた。


 そしてラーナドゥールの国王であるエイベル王その近衛騎士団である聖皇騎士団とリアを始めとするセレディア王国軍の大半は城入って来る敵を相手にするた中に残っていた。


 レイノルズ国王ディレート、フェリクスを始めとしたレイノルズ王国の近衛騎士団とセレディア王国の精兵は帝国軍の背後から敵将であるヴォルフを討ち取るため敵の進路から外れ回り込んでいた。


 エイベル達が城で暫く待機していると帝国軍がやってきた合図の角笛がなった。


 ヴォルフの軍勢が城へと進んで来るとアネットの白狼騎士団とオレーヌの黒狼騎士団の騎士達は破壊魔法を次々とはなった


 アルムガルド帝国軍はかなりの被害を受けながらも前進してきた。


 「城の中に入ればこちらの方が勝る!進め!」


 帝国軍の将兵の言葉に従い兵士達は進み城門を破城槌で破ろうとしていた。


 兵力の大多数を城に投入したヴォルフの軍はやがて城門を打ち破り城の中へと侵入していく。

 

 「聖皇騎士団!前に進め!」


 トリスタンの声と共に聖皇騎士団とセレディア王国軍は帝国軍を迎え討つと乱戦になった。


 帝国軍の軍がほぼ城の中へと侵入すると白狼騎士団が金十字騎士団と白光騎士団への合図を、空へ魔法を放つと火花が散った。 


「金十字騎士団!進むぞ!!」


「白光騎士団!陛下の元へ急げ!」


 火花の合図を見て左右に展開していた白光騎士団と金十字騎士団は侵入した帝国軍の後ろから進撃していく。


 城に侵入していた帝国兵を相手にしていたエイベルと聖皇騎士団、そしてセレディア王国軍はかなりの死傷者を出したが、金十字騎士団と白光騎士団が後ろから追撃し、白狼騎士団と黒狼騎士団が城内の戦いに参戦すると徐々に連合軍は優勢になっていった。


 その様子を見て撤退しようとしたヴォルフの軍に白狼騎士団の合図を見て後ろに回り込んでいたディレート達が攻めに掛かった。


 破壊魔法を放たれ近づいては斬り伏せられて行く。


(こんなはずでは!)


 次々と倒れていく帝国兵を目の当たりにした、ヴォルフは降伏した。


 降伏を受け入れたディレートはヴォルフを捕縛すると空へ魔法を放つと火花が散った


 将軍を囚らえて城内の戦いに勝利したエイベルとリア達の連合軍は歓声をあげた。


 シエナに連合軍の作戦を聞かされていたアリシア達は次々に空に上がった火花を見て勝利した事を確信してセレディアの王都へと向かった。


 しかし強大なアルムガルド帝国の兵はまた攻めて来ることを思った。


 その時再び勝利出来る事は難しい誰もがそう思った。

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