【ホラーストーリー】ブラックウッド精神病院【短編】

密室

第1話

ブラックウッド精神病院に、

悪夢から引きずり出されたような、

獣じみた叫び声が鳴り響いた。


想像を絶する苦痛を思わせる、

身の毛もよだつ絶叫だった。

デイビッドは震える手で、

ICレコーダーを握り直す。


「聞こえた?」


ささやき声でマヤが尋ねる。

デイビッドは、

うなずき返すのが精一杯だった。

視線は廊下の奥、

影に沈んだ入り口を見つめている。



カビ臭さと腐敗の臭いが混じり合った、

重苦しい空気が、得体の知れない力で

ビリビリと震えているようだった。


「あそこから、聞こえた」


デイビッドは、かすれた声で言った。


「隔離病棟からだ」


行くべきではなかった。

2人とも、分かっていた。

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