第30話 強引でも報・連・相は大事 ★デューク SIDE
何事もホウ・レン・ソウが大事だ。さっき撮った動画を持って、カミル殿下の元へ向かう。5台増やすと言ったら、驚かれるだろうか?
「殿下、お時間よろしいでしょうか?」
「デューク……聞いてる意味無いよね?既に目の前まで来ていたら、聞くしか無いだろう!?」
「これを見てください!」
「うわー、スルーなんだね……」
記録してある動画を再生する。見やすいよう、水魔法で大きくして映した。
「お、リオだね。うわ!こんなに速いのが飛んで来るの?おぉ!さすがはリオだ!魔法で撃ち落とすのは軽々と出来てるね!」
「10分3セットです。1セット目が魔法のみ、2セット目は双剣で挑戦されました」
「へぇー!これが2セット目?おー、双剣を構える姿もサマになってるね!…………えぇ――?リオって剣士だったっけ?」
「驚かれるのは分かります、が……報告したいのは別の事です。一応、リオ殿には簡単過ぎるから、飛んで来るバリエーションを増やさないと慣れると言う事、それでも簡単だろうから、中級と上級を作って欲しいと言う事でしたので、5台程追加する許可をください」
「絶対にリオはそんな言い方はしていないだろう?まぁ、言わんとする事は分かった。見てれば分かる……まだまだ余裕があるし、3セット目なんてつまらなそうだ」
リオ殿の機微に敏感な殿下には、リオ殿がつまらないと思ってる事まで分かったらしい……恐るべし。
「上級の装置には何を求められたんだい?」
「同じ個数を、倍以上のスピードで飛ばして欲しいと。現状が100個飛んで来るとすると、5分で100個と3分で100個飛んで来る様に作って欲しいと」
「それでも余裕なのでは?」
「えぇ、間違い無くすぐに飽きられるでしょう。ですので、身体強化のみで剣を振るって遊ぶと仰ってました。先程、私の全力の『火球』100発を余裕で防いでおられたので、間違い無く余裕でしょうな……」
遠い目になりそうなところで、殿下の目に睨まれた。
「あぁ、そうそう。それを報告したかったのですよ。あっさりと……本当にあっさりと超級闇の消去魔法をクリアなさっていました。そして私に、全力でかかって来い!と……」
「半分嘘だろう……まぁ、消去魔法をクリアし、双剣に纏わせて、デュークの全力の『火球』100発を消した事は事実かな」
「…………その通りです」
殿下は我々を監視してるんじゃないか?と思う事が多々あるんだが。今日も冴えていらっしゃる……
「デューク、ありがとう。素晴らしい双剣だね。リオは飛んで喜んだんじゃないかい?」
「あぁ、喜んでいただけたようだ。護身用の短剣の方は軽さを重視した為、双剣より更に装飾が無いが、普段から身につけると約束してくださった」
「追跡魔法石には気づいていたかい?」
「さぁ……?喜びが
「リオは怒らないからね……拗ねる事は増えて来たように思う。少しだけど、やっと感情を見せてくれるようになったね」
「リオ殿は控えめな性格……だとは思う。練習装置にはかなり辛辣なダメ出しを喰らったけどな……」
「あはは、アレはデュークもやってみたのかい?」
「あぁ、勿論だ。直ぐにでもやりたがるだろうと予想していた。私がクリア出来れば安全だからな」
「で?難易度は?」
「それなり、だ」
「簡単では無いが、難しくも無いって事か」
「私の部下達であれば、当分は良い練習になるだろう」
「リオが異常だから、基準が難しいよね」
「本当にな……ただ、この装置は騎士団の連中も欲しがると思うぞ?取り敢えず5台増やす予定だが、貸し出す余裕は無いと思う。部下達が珍しくやる気だからな」
「それは良かった。バレるまでは騎士団には内緒でね?取り敢えず陛下に見せたいから、これは預かっても良いかい?」
「あぁ、大丈夫だ。思ったより難しく無かったから、5つ程作っておいた」
「さすがだね、デューク。それも併せて報告しておくかな。楽しみが増えたと陛下もお喜びだからね」
確かに作ったのは私だが、これはリオ殿の発想があってこそだ。私よりもリオ殿をしっかり褒めて…………あぁ、殿下なら私が言わなくても、リオ殿の事をひたすら褒めてそうだよな。これこそ余計なお世話というものか。そちらは殿下に任せよう。さて。早速、『練習装置』制作に取り掛からなければだな!
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